前代未聞!?「塩の加水分解」を制覇する原点、此処に在り!〔その壱〕.

いよいよ今回は、難問の1つではないかと思われている方も多いのではないかと、今まで記事の中で私自身言い続けてきました、「※ 塩(えん)の加水分解!」を基礎中の基礎から順追って話を進めていきたいと思います。

別記事でも取り上げました様に、弱酸と弱塩基とは真逆的な関係にありますが、「※ さらに、塩の加水分解では全く真逆な関係式が増加し理解しにくくなる!」のではないかと考えられます。

塩の加水分解では、内容的には弱酸と弱塩基のpH&pOHを求める場合に使用するものも扱っていますので同じ様な公式なのですが、水素イオン濃度:[H^+]、または水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求めるための公式が少々異なって複雑になっていますので、この辺りが理解しにくい所だと考えられます。

ですので毎回の事ですが、これから塩の加水分解に扱われている公式を1つ1つ地道に理解して頂きたいと思います。それではスタートです!

1.そもそも塩(えん)と、塩の加水分解って何?

ここではまず、塩の加水分解の中心でもあります、「※ 本来、塩(えん)とは何か?」について少し考えてみましょう!

「※ 最も基本的な塩とは、酸:H^+と塩基:OH^-とが反応し合いH2Oを生じる中和反応により、酸の陰イオンと塩基の陽イオンとがイオン結合した化合物です!」。

さらにややこしい事に、この塩は「※ 塩の分類と称して、酸性塩(水素Hを所有する塩!)・正塩・塩基性塩(OHを所有する塩!)の3つに分類されます!」が、この塩の分類は、塩の水溶液中での性質、つまり「※ 液性を示す、酸性・中性・塩基性を決定付けるモノではない!」という事を再確認して下さい!

また「※ 塩の加水分解」とは、生成した塩が僅かな電離平衡状態にあるH2O(水)と反応し合う事によって、一部の塩が本来の分子状態に戻った後の水溶液の液性(塩の性質)が、「※ 酸性・中性・塩基性」のいずれかを示す現象を指します!

【※ これ等をまとめて言い換えますと、「※ 水溶液中で中和反応により生成した塩が加水分解する事によって、塩の性質=液性が決定する!」と言えます。】

1-1.塩によって異なる加水分解による塩の性質(液性)+塩の生成の仕組みと、その塩の分類の例!

【※[1.酸性塩であり☆酸性を示す塩!]】

強酸の硫酸(H2SO4)と強塩基の水酸化ナトリウム(NaOH)との中和反応により、「※ 硫酸水素イオンHSO4^-が酸性(液性)を示す酸性塩として生成されます!」。これは元々強酸である硫酸H2SO4の電離度がα≒1であるために、生成した硫酸水素ナトリウムNaHSO4(※ 酸性塩)は「※ 分子中にHを所有!」しており、水溶液中で水素イオン:H^+を放出し酸性を示すためです!

【※ つまりHSO4^-(硫酸水素イオン)はH2O(水)から水素イオン:H^+を受け取らず、どちらかと言うとH^+を放出し硫酸イオンSO4^(2-)を生じるため、加水分解の対象にならないという事になります!】

(Ⅰ):H2SO4(強酸)+NaOH(強塩基)→NaHSO4(酸性塩)+H2O

(Ⅱ):NaHSO4→Na^++HSO4^-

(Ⅲ):HSO4^-→☆H^+(酸性)+SO4^(2-)

【※[1-2.酸性塩であり★塩基性(※ 弱塩基性)を示す塩!]】

弱酸の炭酸(H2CO3)と強塩基の水酸化ナトリウム(NaOH)との中和反応により、「※ 炭酸水素イオンHCO3^-が塩基性(液性)を示す酸性塩として生成されます!」。生成した炭酸水素ナトリウムNaHCO3は「※ 分子中にHを所有している!」ため[1.]と同じ酸性塩に区分されます。

ですが、塩であるNaHCO3は、ナトリウムイオンNa^+と炭酸水素イオンHCO3^-に電離し、加水分解によって炭酸水素イオンHCO3^-がH2O(水)からH^+を受け取り本来の炭酸H2CO3として生成するため、OH^-が僅かに増加すると考えられ[1.]とは異なる塩基性の中でも弱塩基性を示します!

[1.]と[1-2.]の液性が異なる理由を、塩の反応物の中心である方(※ 強酸H2SO4、弱酸H2CO3)の電離度αと電離定数Kaを中心に考えてみますと、明らかに[1-2.]の炭酸H2CO3の方が[1.]の硫酸H2SO4よりはるかに小さいため液性が異なる事が理解出来るのではないでしょうか?

つまり、硫酸水素イオンHSO4^-の様に水素イオンH^+を放出しやすいために加水分解の対象にならないのか、それとも加水分解によって炭酸水素イオンHCO3^-の様にH^+を受け取りやすいのかを判断してみる事が重要になります!

【※ この様に[1.][1-2.]の酸性塩の液性の判断の仕方に付きましては、塩に結合しているHの判断だけにとらわれず、反応物の中心である強酸(硫酸H2SO4)、弱酸(炭酸H2CO3、酢酸CH3COOH、リン酸H3PO4など)の電離度αや電離定数Kaまで意識され考えて頂きますと理解度が深まるのではないでしょうか!】

(Ⅰ):H2CO3(弱酸)+NaOH(強塩基)→NaHCO3(酸性塩)+H2O

(Ⅱ):NaHCO3→Na^++HCO3^-

(Ⅲ):HCO3^-+H2O⇔H2CO3+★OH^-(弱塩基性)

【※ [2.正塩であり、中性を示す塩!]】
強酸の硝酸(HNO3)と強塩基の水酸化バリウム(Ba(OH)2)との中和反応により、「※ 硝酸バリウムBa(NO3)2が中性(液性)を示す正塩として生成されます!」。この中性の塩は[1.酸性塩]と同様の、強酸と強塩基から生成されますが、生成した硝酸バリウムBa(NO3)2は「※ 分子中にHもOHも所有しておらず、さらに完全電離するため、電離したバリウムイオン:Ba^(2+)と、硝酸イオン:2NO3^-が2H2Oと加水分解しないために中性を示します!」。

(Ⅰ):2HNO3(強酸)+Ba(OH)2(強塩基)→Ba(NO3)2(正塩)+2H2O

(Ⅱ):Ba(NO3)2→Ba^(2+)+2NO3^-

【※[2-1.正塩であり、酸性(※ 弱酸性)を示す塩!]】

強酸の塩酸(HCl)と弱塩基の水酸化アルミニウム(Al(OH)3)との中和反応により、「※ 塩化アルミニウムAlCl3が酸性(液性)を示す正塩として生成されます!」。

塩としての塩化アルミニウムAlCl3は「※ 分子中にHもOHも所有せず、アルミニウムイオンAl^(3+)と塩化物イオン3Cl^-とに完全電離したAl^(3+)が3H2Oの★3OH^-と水酸化アルミニウムAl(OH)3を生成するため☆3H^+が弱酸性(酸性)を示す事になります!」。

(Ⅰ):3HCl(強酸)+Al(OH)3(弱塩基)→AlCl3(正塩)+3H2O(☆3H^++★3OH^-)

(Ⅱ):AlCl3+3H2O⇔Al★(OH)3+☆3H^+(弱酸性)+3Cl^-

【※[2-2.正塩であり、塩基性(※ 弱塩基性)を示す塩!]】

弱酸の炭酸(H2CO3)と強塩基の水酸化ナトリウム(NaOH)との中和反応により、「※ 炭酸ナトリウムNa2CO3が塩基性(液性)を示す正塩として生成されます!」。

塩としての炭酸ナトリウムNa2CO3は、HもOHも所有せず、水溶液中ではナトリウムイオン2Na^+と炭酸イオンCO3^(2-)とに完全電離した炭酸イオンCO3^(2-)が加水分解によって、H2OのH^+と炭酸水素イオンHCO3^-を生成するため、残ったOH^-が弱塩基性(塩基性)を示す事になります!

(Ⅰ):H2CO3(弱酸)+2NaOH(強塩基)→Na2CO3(正塩)+2H2O

(Ⅱ):Na2CO3→2Na^++CO3^(2-)

(Ⅲ):CO3^(2-)+H2O⇔HCO3^-+OH^-(弱塩基性)

【※ 正塩の場合誤って、「(×):正塩=中性」の様に、正塩は必ず中性であると言う関係は成立しませんので御注意下さい!

「(◯):※ 必ずしも[正塩=中性]の関係は成立せず、正塩は、酸性・中性・塩基性のいずれかの液性を示す性質がある!」事を再確認して下さい!】

【※ [3.塩基性塩の液性は、塩基性を示す塩なのか?]】
強酸の塩酸(HCl)と強塩基の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)との中和反応により、「※ OHを所有する塩基性塩の塩化水酸化カルシウムCaCl(OH)が生成されます!」。

(1):HCl(強酸)+Ca(OH)2(強塩基)→CaCl(OH)(塩基性塩)+H2O

(2):HCl(強酸)+Mg(OH)2(☆弱塩基)→MgCl(OH)(塩基性塩)+ H2O

(3):HCl(強酸)+Cu(OH)2(☆弱塩基)→CuCl(OH)(塩基性塩)+H2O

【※ 塩基性塩はほとんど水に溶けない事から、塩の性質(液性)及び塩の加水分解については考慮しなくても構い事として扱われているのが通常の考え方です!ですが、ほとんどという事は、水に万分の一の確率でも溶ける可能性があるとも言えます。

ここからは私なりの塩基性塩の考え方ですので、必ずしもこの様になるとは言えませんが、イメージする事は重要だと言う意味も含めまして、宜しければお付き合い下さい。

[1]:まずはアルカリ土類金属を含む強塩基の2価の塩基:水酸化カルシウムCa(OH)2の多段階電離に着目して下さい。

Ca(OH)2⇔Ca(OH)^++OH^-   (※ 第1段階電離!)

Ca(OH)^+⇔Ca^(2+)+OH^-   (※ 第2段階電離!)

この第2段階電離を観ると、水溶液中で塩基性塩:塩化水酸化カルシウムCaCl(OH)が、次の様に電離すると仮定した場合の電離平衡に少々似ているのではないかと思います。

(Ⅰ):CaCl(OH)⇔Ca(OH)^++Cl^-

(Ⅱ):Ca(OH)^+⇔Ca^(2+)+OH^-(※ 第2段階電離)

(Ⅲ):CaCl(OH)⇔Ca^(2+)+Cl^-+OH^-(※ 全体の化学反応式!)

この様に仮定しますと、結果、水酸化物イオン:OH^-が生成し、アルカリ土類金属(※ Baなど)の化合物である塩基性塩:塩化水酸化カルシウムCaCl(OH)は、液性としては塩基性を示す事になります。ただし、この反応は加水分解ではなく、電離により塩基性を示している事になります。

[2]:次に、アルカリ土類金属ではない金属元素の化合物による塩基性塩の、(2):塩化水酸化マグネシウムMgCl(OH)、(3):塩化水酸化銅(Ⅱ)CuCl(OH)について考えてみます。ここでは、前提として電離しにくい弱塩基の水酸化物としての水酸化マグネシウム:Mg(OH)2、水酸化銅(Ⅱ):Cu(OH)2(=単なる銅ではなく、※ 銅(Ⅱ)です!)は完全沈殿(※ 電離しにくい!)する事を意識しますと、どちらの塩基性塩も(Ⅱ)の平衡状態(※ 第2段階電離に相当する電離平衡として考えますと、左方向に平衡が偏るために、右方向で生成するMg^(2+)、Cu^(2+)はあまり考えにくい。)においての電離は無いと考えられます。

【(Ⅰ):MgCl(OH)⇔Mg(OH)^++Cl^-

(Ⅱ):Mg(OH)^+(※ この時点でのOH^-の電離は無いと考えられます!)+H2O⇔Mg(OH)2+H^+

(Ⅲ):MgCl(OH)+H2O⇔Mg(OH)2+Cl^-+H^+(※ 全体の化学反応式!)】

【(Ⅰ):CuCl(OH)⇔Cu(OH)^++Cl^-

(Ⅱ):Cu(OH)^+(※ この時点でのOH^-の電離は無いと考えられます!)+H2O⇔Cu(OH)2+H^+

(Ⅲ):CuCl(OH)+H2O⇔Cu(OH)2+Cl^-+H^+(※ 全体の化学反応式!)】

「※ 水酸化物としてはどちらも完全に沈殿する塩ですので、電離して塩基性を示すCaCl(OH)とは異なり、加水分解する事によって液性は酸性を示すと考えられます!

ただし、上記の塩基性塩の液性は、あくまでも仮に塩基性塩が液性を示すとしたらどの液性になるかを私なりのイメージによる予想を重要視したもので、必ずしも記述した通りの液性を示すとは限りませんので、どうか御了承下さい!

また後述する塩の加水分解は、塩基性塩による加水分解は考えない事として、通常の塩の分類と致しまして、酸性塩と正塩を中心として塩の性質(液性)を判断して頂く事になります!」】

【※ 塩の生成は中和反応だけでなく、他にも様々な反応によって塩が生成されます。上記の中和反応に似た反応も存在しますが、他の反応の中には塩の生成の目安となるH2O(水)、H2(水素)が塩と共に生成されない反応も存在します。

生成した塩は勿論同じ塩の仲間ですので、加水分解可能な塩となりますが、中には炭酸カルシウムCaCO3の様に沈殿してしまう塩も存在します。

CO2(酸性酸化物)+Ca(OH)2(強塩基)→CaCO3(塩)+H2O

ですので、この記事では「※ 沈殿しない塩を扱い、中和反応によって生成した塩を中心に加水分解を考えていきたい!」と思います。】

2.塩の生成と加水分解!

ここでは通常扱われている、塩の酢酸ナトリウムCH3COONaの生成から、塩の加水分解について考えてみましょう。

【※ 塩の生成と、塩が加水分解される迄の一連の流れ!】
[1]:まず酢酸ナトリウムは次の様に生成され、また生成したCH3COONaの塩の分類は正塩となります。

(Ⅰ):CH3COOH(弱酸)+NaOH(強塩基)→CH3COONa(正塩)+H2O

[2]:生成した正塩のCH3COONaは水溶液中で完全電離し、H2Oの電離平衡(水の電離)と共存状態にあります!

(Ⅱ):CH3COONa→CH3COO^-+Na^+

(Ⅲ):H2O⇔H^++OH^-

[3]:水溶液中で共存している正塩のCH3COONaは、電離した酢酸イオンCH3COO^-とH2Oとが平衡状態にあり、互いに加水分解し合うとCH3COO^-の一部がH2OのH^+を受け取り、本来の酢酸分子CH3COOHに戻り、液性(塩の性質)は塩基性(☆OH^-)を示します!

(Ⅳ):CH3COO^-+H2O⇔CH3COOH+☆OH^-(※ 加水分解による平衡状態は、大きく左方向へと偏っています!)

以上より、最終的には酢酸イオンCH3COO^-とH2Oとの加水分解という事になります!

【※ 塩の加水分解の公式を対象とした共通点!】
塩の加水分解の公式と、弱酸及び弱塩基のpHを求めるために使用される公式との間には、両方の公式で、「※ 電離定数Ka、電離定数Kb、水のイオン積Kwが扱われているという共通点が存在しています!」。

さらに、「※ 弱酸及び弱塩基の電離度αと、塩の加水分解度h(※ 加水分解度をMAX1とした場合に加水分解する割合!)は、水溶液中での平衡状態での役割を果たしているという点では非常に良く似ています!」。

また「※ 塩の加水分解の公式では、これ等の共通した利点を、加水分解定数と称されるKhを公式として上手く操作する事で、加水分解定数Kh・加水分解度h・電離定数Ka・電離定数Kb・水のイオン積Kwによって、塩の加水分解の公式が成立し、これ等を自在に組み合わせる事でpH等求める事が可能になっています!」。

つまり塩の加水分解の場合、弱酸及び弱塩基の場合より少々複雑化していますが、両者を比較した総合的な解き方と致しましては、さほど変わらないと考えて頂いて構わないと思いますので、毎回の事ですが、1つ1つ確実に理解していきましょう!

3.加水分解度hによる塩の加水分解の平衡状態と、加水分解定数Khとの関係!

上画像(※ 単位は全てモル濃度:〔mol/L〕です。)を観てみますと、酢酸イオンCH3COO^-の塩の加水分解は、弱塩基のアンモニアNH3が電離して水酸化物イオン:OH^-を生成する反応と良く似ています。真逆的な関係にありそうですが、OH^-を生成するという点では全く同じであるという事が理解出来ます!

また、塩の加水分解での加水分解度hは、弱塩基の電離度αと同じ役割を果たしていると言えます。この様に考えますと、互いに共通点が存在していますので、ここまでは比較的理解しやすいと思います。

皆さん少々頭を悩ますのが、加水分解定数Khが公式として乱入して来た場合だと思われます。このKhによって振り回されるために、どうしても公式を一まとめにしたものが必要となります。

それが後程紹介致します変形式ですが、ここではまず先に加水分解度hと加水分解定数Khを公式として整理し水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求めておきましょう!弱塩基のアンモニアNH3同様に、「※ まずは[OH^-]を求める!」が基本となります!

また上画像の公式中の分母:c(1-h)より通常の近似値:1-h≒1を、下記の変形式ではc(1-0)とした方が理解しやすいのではないかと思い、あえて記載していますので何卒御了承下さい!
【※ 加水分解度hと加水分解定数Khの関係!】
Kh=ch^2より、ch^2=Khとすると加水分解度hは、両辺に指数:(1/2)を乗じると求められます!

h^2=Kh/c → h^2^(1/2)=(Kh/c)^(1/2) → h=√(Kh/c)   ∴加水分解度h=√(Kh/c)

上画像より、酢酸イオンは加水分解されると水酸化物イオン:OH^-が生成され、その時の水酸化物イオン濃度:[OH^-]の求め方は、弱塩基であるアンモニアNH3の[OH^-]の求め方と良く似ています!

(Ⅰ):[OH^-] =ch

と、加水分解度h=√(Kh/c)である事から、(Ⅰ)を次の様にも表す事が出来ます!

(Ⅱ):[OH^-]=ch=c×√(Kh/c)=√c^2×√(Kh/c)=√cKh   ∴[OH^-]=√cKh

またKh=Kw/Kaである事から、(Ⅱ)を次の様にも表す事が出来ます!

(Ⅲ):[OH^-]=√cKh=√c×√(Kw/Ka)=√(c・Kw/Ka)   ∴[OH^-]=√(c・Kw/Ka)

(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)より、酢酸イオンCH3COO^-の塩の加水分解により生じる水酸化物イオン濃度:[OH^-]は次式で表せます!

【※ [OH^-]=ch=√cKh=√(c・Kw/Ka) 】

「※ なお上式は後程、変形式と称するものにも使用しますので御了承下さい!」

4.塩の加水分解における、電離定数Ka・水のイオン積Kw・加水分解定数Khの関係を公式化してみよう!

ここでは、どの様にして塩の加水分解に欠かせない公式が成立しているのかを2通りに分けて考えてみましょう。私からしますと、「※ この2つの考え方は、変な言い方をしますと無理矢理公式化している!」という様なイメージを受けます。

余談ですが、様々な公式、数式といったものは、人間が生活していく事に繋げるために、まずは簡単な数字等を勝手に決める事から始まり、あらゆる分野の公式も必ずこれ等を基準にして成立している事から、「※ どんなに難解な公式も、基を辿ると現在も当たり前の様に使用している簡単な数字の0、1、2等が原型となっている!」と考えられます。

ですので、次の2通りの公式の考え方も理にかなったものとして公式に手を加えますと、必ず公式として成立する様になっていますから不思議と言えば不思議ですね!

【※ 化学平衡の法則より、電離定数Kaと水のイオン積Kwを公式化させる:(その1)!】

塩の加水分解の軸となる公式を完成させるには、どうしても化学平衡の法則の中に外部から操作して、電離定数Kaと水のイオン積Kwを入れ込み公式化させる必要があります。これから段階的に公式を完成させていきましょう!

[1]:化学平衡の法則を利用する!

Kh=[CH3COOH][OH^-]/[CH3COO^-]

[2]:加水分解定数Khの公式に、電離定数Kaと水のイオン積Kwを入れ込み公式化させるために、水素イオン濃度:☆[H^+]を[1]式の分子と分母の両方に乗じる!

Kh=[CH3COOH][OH^-]☆[H^+]/[CH3COO^-]☆[H^+]

[3]:[2]の右辺の、[CH3COOH]/[CH3COO^-]☆[H^+]の部分だけに着目すると、酢酸の電離定数Ka:[CH3COO^-]☆[H^+]/[CH3COOH]をひっくり返した形になっています。つまり電離定数Kaの「※ 逆数:1/Ka」という感じで考えますと次の様になります。

(Ⅰ):「※ 電離定数Ka=[CH3COO^-]☆[H^+]/[CH3COOH]」を、ひっくり返した形にすると、

(Ⅱ):「1/Ka」=[CH3COOH]/[CH3COO^-]☆[H^+]

(Ⅱ)の「1/Ka」を、加水分解定数Khの右辺に代入すると、

Kh=[CH3COOH]★[OH^-]☆[H^+]/[CH3COO^-]☆[H^+]=★[OH^-]☆[H^+]/Ka

ここで分子の部分である、★[OH^-]☆[H^+]は、

★[OH^-]×☆[H^+]=Kw(水のイオン積)を表している事から、これ等をまとめると、

Kh=[CH3COOH]★[OH^-]☆[H^+]/[CH3COO^-]☆[H^+]=★[OH^-]☆[H^+]/Ka=Kw/Ka   ∴Kh=Kw/Ka

が成立します!

【※ 化学平衡の法則より、電離定数Kaと水のイオン積Kwを公式化させる:(その2)!】

もう1通りの求め方はスムーズにそのまま考えて、電離定数Kaと加水分解定数Khを乗じ、水のイオン積Kwを求め公式化します。

Ka=[CH3COO^-]☆[H^+]/[CH3COOH]

Kh=[CH3COOH]★[OH^-]/[CH3COO^-]

KaとKhを乗じ合い、酢酸分子CH3COOH、酢酸イオンCH3COO^-をそれぞれ消去し合うと、

Ka×Kh={[CH3COO^-]☆[H^+]/[CH3COOH]}×{[CH3COOH]★[OH^-]/[CH3COO^-]}=☆[H^+]★[OH^-]=Kw   ∴Ka×Kh=Kw

が成立しますが、もう少し補足説明したいと思います!

補足説明
加水分解定数Khを基準に考えて、Khの酢酸イオンCH3COO^-のモル濃度を0.10〔mol/L〕とし、加水分解する事から始めると加水分解定数Khが成立します!

(1.):「※ まず、分母:0.10mol/Lの酢酸イオンCH3COO^-が加水分解され、同じモル濃度の、分子:(a)[CH3COOH(=10^(-5)mol/L)]と[OH^-(=10^(-5)mol/L)]が生成されます。これを計算しますと、加水分解定数Kh(=10^(-9)mol/L)が確定します!」。

Kh(=10^(-9)mol/L)=(a)[CH3COOH(=10^(-5)mol/L)]・[OH^-(=10^(-5)mol/L)]/[CH3COO^-(=0.10mol/L)]

(2.):次に今度は、(1.)の加水分解で生じた酢酸分子の(a)[CH3COOH(=10^(-5)mol/L)]が電離して、電離定数Ka(※ 酢酸の電離定数Kaが、25℃で≒10^(-5)mol/Lである事を利用します!)が成立します!

Ka(=10^(-5)mol/L)=[CH3COO^-(※ ≒0.10mol/L)]・[H^+(=10^(-9)mol/L)]/(a)[CH3COOH(=10^(-5)mol/L)]

【※ ここが少々紛らわしいのですが、本来分母である(a)[CH3COOH(=10^(-5)mol/L)]が電離しますと、通常ならば分子である、[CH3COO^-(※ ≒0.10mol/L)]と[H^+(=10^(-9)mol/L)]は、全く同じであるはずなのですが、ここではモル濃度の値が両方一致していません!

これは電離定数Kaを10^(-5)mol/Lとして成立させるために、この様な計算式となっています。何故分子のモル濃度が一致してないかと言いますと、

(1.)の分母の酢酸イオン:[CH3COO^-(=0.10mol/L)]は、一旦加水分解によって僅かですが、酢酸(a)[CH3COOH(=10^(-5)mol/L)]が生じ、生じた(a)[CH3COOH(=10^(-5)mol/L)]が今度は電離によって、さらに僅かな酢酸イオン:[CH3COO^-(=10^(-9)mol/L)]と、水素イオン:[H^+(=10^(-9)mol/L)]とが全く同じモル濃度として生成されます!

この時の酢酸イオン:[CH3COO^-(※ ≒0.10mol/L)]だけ考えますと、最初の(1.)の加水分解で酢酸(a)[CH3COOH]として酢酸イオン:[CH3COO^-]が 「※ 10^(-5)mol/L)」だけ減少しています!

次に(2.)の酢酸の電離で酢酸イオン:[CH3COO^-]が「※ 10^(-9)mol/L」だけ(1.)より、増加しています!

この事から、(1.)の分母の酢酸イオン:[CH3COO^-(=0.10mol/L)]の濃度は、「※ 酢酸イオンの加水分解によって酢酸イオンが僅かに減少しても、酢酸の電離で酢酸イオンが僅かに増加しても、さほど酢酸イオンのモル濃度:0.10〔mol/L〕と変わらない事から(2.)では、残った酢酸イオンは、[CH3COO^-(※ ≒0.10mol/L)]と考えて公式化させています!」】

【※ [※ 酢酸イオンCH3COO^-のモル濃度:0.10〔mol/L〕]-[※ 加水分解時に減少した酢酸イオンCH3COO^-のモル濃度:10^(-5)〔mol/L〕]+[※ 電離平衡時に増加した酢酸イオンCH3COO^-のモル濃度:10^(-9)〔mol/L〕]≒0.10〔mol/L〕  ∴ 残った酢酸イオンCH3COO^-のモル濃度は、最初のモル濃度:0.10〔mol/L〕とさほど変わらないと言える!】

以上の事から、(1.)のKhと(2.)のKaを乗じると、次式が成立します!

Kh(=10^(-9)mol/L)×Ka(=10^(-5)mol/L) =Kw(=1.0×10^(-14)〔(mol/L)^2〕)   ∴Kh×Ka=Kw

また、酢酸イオンと酢酸分子のモル濃度で表すと、

(a)([CH3COOH(=10^(-5)mol/L)]・[OH^-(=10^(-5)mol/L)]/[CH3COO^-(=0.10mol/L)])×([CH3COO^-(※ ≒0.10mol/L)]・[H^+(=10^(-9)mol/L)]/(a)[CH3COOH(=10^(-5)mol/L)])

より、分母と分子の酢酸イオン:CH3COO^-と、酢酸分子:CH3COOHとを互いに消去し合うと、Khの[OH^-(=10^(-5)mol/L)] と、Kaの[H^+(=10^(-9)mol/L)]だけが残り、次式が成立します!

[OH^-(=10^(-5)mol/L)]×[H^+(=10^(-9)mol/L)]=Kw(=1.0×10^(-14)〔(mol/L)^2〕)   ∴Kh×Ka=Kw

以上2通りが、加水分解定数Kh、電離定数Ka、水のイオン積Kwの関係が成立する事を表すものです。それではこの関係を基にして変形式と称するものと、塩の加水分解の問題を解いていきましょう!

なお、「※ Kh、Ka、Kwの公式関係!」は、

【※ Kh=Kw/Ka 】

の様に、非常に重要な公式としても表す事が出来るために、「※ 今後勝手ながらこの公式を変形式と称するものに、加水分解定数Kh、電離定数Ka、水のイオン積Kwを利用させて頂きます。」ので、御理解の程宜しくお願い致します!

5.酢酸ナトリウム:CH3COONaと塩化アンモニウム:NH4Clの加水分解定数Khの役割の違い!

【※ ここに着目!酢酸ナトリウム:CH3COONaと、塩化アンモニウム:NH4Clの真逆的関係性!】

皆さんに是非着目理解しておいて頂きたい事があります。それが、「※ 酢酸ナトリウム:CH3COONaと、塩化アンモニウム:NH4Clの真逆的関係性!」です。

両者の水酸化物イオン濃度:[OH^-]と、水素イオン濃度:[H^+]の公式を、次の様に着目して観ると全く真逆的な関係性にある事が理解出来ます!

[1.]水酸化物イオン濃度:[OH^-]の求め方を比較して観ると、

(Ⅰ):酢酸ナトリウム:CH3COONaの[OH^-]=ch=√cKh=☆√(c・Kw/Ka)⇔塩化アンモニウム:NH4Clの[OH^-]=Kw/[H^+]=Kw/ch=Kw/√cKh=☆√(Kb・Kw/c)

(Ⅱ):(Ⅰ)より、

【※ CH3COONaの[OH^-]=☆√(c・Kw/Ka)⇔NH4Clの[OH^-]=☆√(Kb・Kw/c) 】

上記の様に、[OH^-]を求めるために必要な、「※ モル濃度c・電離定数Ka・電離定数Kb・水のイオン積Kw」 に着目すると、「※ 互いの☆√の中の、水のイオン積Kwを除いた、モル濃度c・電離定数Ka・電離定数Kbの位置が、分子と分母とで真逆的な関係になっている!」事に気付きます。

[2.]水素イオン濃度:[H^+]の求め方を比較して観ると、

(Ⅰ):酢酸ナトリウム:CH3COONaの[H^+]=Kw/ch=Kw/√cKh=★√(Ka・Kw/c)⇔塩化アンモニウム:NH4Clの[H^+]=ch=√cKh=★√(c・Kw/Kb)

(Ⅱ):(Ⅰ)より、

【※ CH3COONaの[H^+]=★√(Ka・Kw/c)⇔NH4Clの[H^+]=★√(c・Kw/Kb) 】

[1.]と同様に、「※ 互いの★√の中の、水のイオン積Kwを除いた、モル濃度c・電離定数Ka・電離定数Kbの位置が、分子と分母とで真逆的な関係になっています!」。

[1.]と[2.]の[H^+]と[OH^-]の真逆的な関係性を理解しインプットしておいてもらいますと、塩の加水分解によってpHを求める問題に役立つと思いますので、

【※ CH3COONaの[OH^-]=☆√(c・Kw/Ka)⇔NH4Clの[OH^-]=☆√(Kb・Kw/c) 】

【※ CH3COONaの[H^+]=★√(Ka・Kw/c)⇔NH4Clの[H^+]=★√(c・Kw/Kb) 】

迷わず問題を解くためにも、上記2つの関係性は重要ですので、しっかり理解し引き出せる様にしておかれたらと思います!

6.変形式をイメージして、塩の加水分解の仕組みを解き明かそう!

【※ 変形式を一気にインプットして、塩の加水分解の問題を解いてみよう!】
塩の加水分解対策の基本と致しまして、私は、私が勝手に変形式と称している上画像を一気に頭の中にインプットしておいてから問題に挑戦しています。

もちろん変形式の意味を理解した上での事です。既に皆さんには塩の加水分解についての必要な情報はここまで御覧頂いていますが、もし変形式と称するものが御理解されない場合には、今一度理解されていない所を再確認して頂き、理解されてから再度一気にインプットしてみて下さい!

理解された後、初歩的な塩の加水分解の問題から利用して頂きますと、段々と変形式を使用する意味が解ってくると思いますので、一度お試し下さい!

また定番ですが、皆さんに御理解頂きます様に、通常の問題とは少々異なり、必要以上に問題を作成してある場合がありますので、どうか御了承下さい。

【※ 加水分解定数Kh、水のイオン積Kw、電離定数Kaの関係式を表した、

(Ⅰ):「※ Kh=Kw/Ka 」(Ⅱ):「※ Ka=Kw/Kh 」(Ⅲ):「※ Kh×Ka=Kw 」

の3公式に付きましては、変形式の中には記載されていませんが、変形式と同様の重要な公式として一まとめにして理解して頂くという意味で、

「※ 変形式+塩の加水分解の重要公式!」

として上画像で表していますので、是非同時にインプットしておいてもらって、いつでも思い出して応用化出来る様にしておいて下さい!皆さんが覚えやすい、(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)のいずれかの公式を1つだけインプットして頂ければ充分対応出来ますので、変形式と同様御使用お願い致します!

また、(3)の「※ [H^+]=Kw/√cKh=√(Ka・Kw/c)ですが、Kw=√Kw^2、√cKh=√(c・Kw/Ka)より、

[H^+]=Kw/√cKh=√Kw^2/√(c・Kw/Ka)=√Kw^2×√(Ka/c・Kw)=√(Ka・Kw/c)

としてお考え下さい。それでは早速問題を解いていきましょう!】

〔問.1〕0.10mol/Lの酢酸ナトリウムCH3COONa水溶液がある。

[1]:酢酸ナトリウムの加水分解度hが6.0×10^(-5)の加水分解定数Khを求めよ。

変形式(1)より、

Kh=ch^2=0.10×(6.0×10^(-5))^2=3.6×10^(-10)  答.Kh=3.6×10^(-10)〔mol/L〕

[2]:電離定数Kaを小数第1位までとして求めよ。ただし、水のイオン積Kw=1.0×10^(-14)〔(mol/L)^2〕とする。

Kh=Kw/Kaより、

Ka=Kw/Kh=(1.0×10^(-14))/(3.6×10^(-10))≒2.8×10^(-5)  答.Ka=2.8×10^(-5)〔mol/L〕

[3]:水酸化物イオン濃度:[OH^-]を小数第1位までとし3通り求めよ。ただし、√0.36=0.60、√2.8=1.67とする。

(Ⅰ):変形式(2)より、

[OH^-]=ch=0.10×6.0×10^(-5)=6.0×10^(-6)  答.[OH^-]=6.0×10^(-6)〔mol/L〕

(Ⅱ):変形式(2)より、条件:√0.36=0.60とし、

[OH^-]=√cKh=√(0.10×3.6×10^(-10))=√(0.36×10^(-10))=0.60×10^(-5)=6.0×10^(-6)  答.[OH^-]=6.0×10^(-6)〔mol/L〕

(Ⅲ):変形式(2)と、Kh=Kw/Kaより、条件:√2.8=1.67とし、

[OH^-]=√cKh=√(c・Kw/Ka)=√(☆0.10×1.0×10^(-14)/2.8×10^(-5))=√☆(1/10)×√(1.0×10^(-14)/★2.8×10^(-5))=√(1.0×10^(-14)/★28×10^(-5))=√(1.0×10^(-14)/★2.8×10^(-4))=1.0×10^(-5)/★√2.8=1.0×10^(-5)/★1.67≒6.0×10^(-6)  答.[OH^-]=6.0×10^(-6)〔mol/L〕

「※ 0.10〔mol/L〕=(1/10)〔mol/L〕」として考えて条件:√2.8=1.67へと繋げて計算しています!

[4]:この水溶液のpOHを有効数字2桁までとし求めよ。ただし、log(10)[2.0]=0.30、log(10)[3.0]=0.48とする。

[3]の[OH^-]=6.0×10^(-6)〔mol/L〕 より、

pOH=-log(10)[OH^-]=-log(10)[6.0×10^(-6)]=-log(10)[2.0×3.0×10^(-6)]=-(log(10)[2.0]+log(10)[3.0]+log(10)[10^(-6)])=-(0.30+0.48-6)=5.22 答.pOH=5.2

[5]:加水分解定数Khを利用し、有効数字2桁までとし水素イオン濃度:[H^+]を求め、これよりpHも有効数字2桁までとし求めよ。ただし、√2.8=1.7、log(10)[1.7]=0.23とする。

[H^+]=√(Ka・Kw/c)=√(2.8×10^(-5)×1.0×10^(-14)/0.10)≒1.7×10^(-9)  答.[H^+]=1.7×10^(-9)〔mol/L〕

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[1.7×10^(-9)]=-(log(10)[1.7]+log(10)[10^(-9)])=-(0.23-9)=8.77   答.pH=8.8

[6]:14(pKw)が成立する事を証明せよ。

[4]、[5]より、pH+pOH=14を利用し、

答.pH+pOH=5.2+8.8=14より、14(pKw)が成立する。

【※〔問.1〕は、塩の加水分解の基本的な問題です。仮に、加水分解度h、モル濃度cを求める場合には、変形式(1)より求められます。また、[1]~[6]は変形式に沿ったものとなっていますので、今一度変形式と照らし合わせ、基本的な問題として再確認されて下さい!】

〔問.2〕0.20mol/Lの酢酸ナトリウムCH3COONa水溶液がある。

[1]:この水溶液の加水分解定数Khと、加水分解度hを求めよ。ただし、電離定数Ka=2.0×10^(-5)、√4^(-1)=0.50とする。

Kh=Kw/Ka=(1.0×10^(-14))/(2.0×10^(-5))=(1/2)×10^(-9)=5.0×10^(-10)  答.Kh=5.0×10^(-10)〔mol/L〕

加水分解度hは、変形式(1):Kh=ch^2より、条件:√4^(-1)=0.50として、

h=√Kh/c=√(Kw/Ka/c)=√(1.0×10^(-14)/0.20×2.0×10^(-5))=√(1.0×10^(-14)/4.0×10^(-6))=√(1/4×10^(-8))=√(4^(-1)×10^(-8))=0.50×10^(-4)=5.0×10^(-5)  答.h=5.0×10^(-5)

[2]:CH3COONa水溶液の水酸化物イオン濃度:[OH^-]を3通り求めよ。

変形式(2)より、

(Ⅰ):[OH^-]=ch=0.20×5.0×10^(-5)=1.0×10^(-5) 答.[OH^-]=1.0×10^(-5)〔mol/L〕

(Ⅱ):[OH^-]=√cKh=√(0.20×5.0×10^(-10))=1.0×10^(-5) 答.[OH^-]=1.0×10^(-5)〔mol/L〕

(Ⅲ):[OH^-]=√cKh=√(c・Kw/Ka)=√(0.20×1.0×10^(-14)/2.0×10^(-5))=1.0×10^(-5) 答.[OH^-]=1.0×10^(-5)〔mol/L〕

[3]:この水溶液のpOHとpHを求めよ。

(Ⅰ):pOHは[2]の[OH^-]=1.0×10^(-5)〔mol/L〕より、

pOH=-log(10)[OH^-]=-log(10)[1.0×10^(-5)]=-(log(10)[1.0]+log(10)[10^(-5)])=-(0-5)=5.0 答.pOH=5.0

(Ⅱ):pHは、「pH+pOH=14」より、

pH=14-5.0=9.0  答.pH=9.0

[4]:CH3COONa水溶液の水素イオン濃度:[H^+]と、求めた[H^+]からpHを求めよ。

(Ⅰ):変形式(3)より[H^+]は、

[H^+]=√(Ka・Kw/c)=√(2.0×10^(-5)×1.0×10^(-14)/0.20)=√(2.0×10^(-5)×1.0×10^(-14)/2.0×10^(-1))=1.0×10^(-9)  答.[H^+]=1.0×10^(-9)〔mol/L〕

(Ⅱ):pHは(Ⅰ)の[H^+]より、

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[1.0×10^(-9)]=-(log(10)[1.0]+log(10)[10^(-9)])=-(0-9)=9.0  答.pH=9.0

【※ 知ってて損は無し!基本的な塩の加水分解によるpHの求め方は2つ在る!?】
【※ 基本的な塩の加水分解によるpHの求め方は、大きく分けた場合2つ存在します!大まかですが、知ってて損は無いと思いますので記載しときたいと思います!

[1.]:1つ目は、変形式(2)より水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求めてからpOHを求め、pHを求める!

(Ⅰ):まず[OH^-]を求める!

[OH^-]=ch=√cKh=√(c・Kw/Ka)

(Ⅱ):次にpOHを求める!

pOH=-log(10)[OH^-]

(Ⅲ):最後に、pKw(14)よりpHを求める!

pH+pOH=14より、

14-pOH=pH

[2.]:2つ目は、変形式(3)より[H^+]を求め、pHを求める!

(Ⅰ):[H^+]=√(Ka・Kw/c)

(Ⅱ):pH=-log(10)[H^+]

大まかですが、上記の2つの求め方を意識して覚える必要は無く、変形式に沿った求め方ですので気楽に理解しておかれたらと思い記載しときました!】

〔問.3〕0.10mol/Lの酢酸CH3COOH水溶液100mLに、0.10mol/Lの水酸化ナトリウムNaOH水溶液100mLを加え混合した酢酸ナトリウムCH3COONa水溶液がある。

[1]:生成した酢酸ナトリウムCH3COONaのモル濃度を求めよ。

(Ⅰ):酢酸と水酸化ナトリウムの中和反応により、酢酸ナトリウムCH3COONaが生成し、その物質量〔mol〕をまず計算すると、

酢酸:1(価数)×0.10mol/L×{100mL/(1000mL/L)}=水酸化ナトリウム:1(価数)×0.10mol/L×{100mL/(1000mL/L)}=0.01〔mol〕(物質量)

(Ⅱ):次に水溶液中の体積に着目し、物質量〔mol〕÷体積〔mL/(mL/L)=L〕=モル濃度〔mol/L〕より、モル濃度〔mol/L〕を求める。

0.01mol(物質量)÷{(100mL+100mL)/(1000mL/L)(体積)}=0.01mol×{(1000mL/L)/200mL}=0.05  答.c=0.050〔mol/L〕

[2]:この水溶液の加水分解定数Khを小数第1位までとし求めよ。ただし、酢酸の電離定数Kaを、Ka=2.8×10^(-5)〔mol/L〕、水のイオン積を、Kw=1.0×10^(-14))〔mol/L〕^2、2.8^(-1)=0.36とする。

塩の加水分解の重要公式:Kh=Kw/Kaより、

Kh=(1.0×10^(-14)〔mol/L〕^2)/(2.8×10^(-5)〔mol/L〕)=2.8^(-1)×10^(-9)=0.36×10^(-9)=3.6×10^(-10)   答.Kh=3.6×10^(-10)〔mol/L〕

[3]:酢酸ナトリウムの加水分解度hを求めよ。

変形式(1)のKh=ch^2より、

h=√(Kh/c)=√(3.6×10^(-10)/0.050)=√(3.6×10^(-10)/5.0×10^(-2))≒8.5×10^(-5)   答.h=8.5×10^(-5)

[4]:この水溶液の、水酸化物イオン濃度:[OH^-]を3通り求めよ。

変形式(2)より、

(Ⅰ):[OH^-]=ch=0.050×8.5×10^(-5)≒4.3×10^(-6)  答.[OH^-]=4.3×10^(-6)〔mol/L〕

(Ⅱ):[OH^-]=√cKh=√(0.050×3.6×10^(-10))≒4.2×10^(-6)  答.[OH^-]=4.2×10^(-6)〔mol/L〕

(Ⅲ):[OH^-]=√cKh=√(c・Kw/Ka)=√(0.05×1.0×10^(-14)/2.8×10^(-5))≒4.2×10^(-6)  答.[OH^-]=4.2×10^(-6)〔mol/L〕

[5]:この水溶液の、水素イオン濃度:[H^+]を求めよ。ただし[4]の(Ⅱ)と(Ⅲ)の[OH^-]=4.2×10^(-6)〔mol/L〕を用いて求めよ。

変形式(3)より、

[H^+]=Kw/[OH^-]=(1.0×10^(-14))/(4.2×10^(-6))≒2.4×10^(-9)  答.[H^+]=2.4×10^(-9)〔mol/L〕

[6]:酢酸ナトリウムCH3COONa水溶液のpHを小数第2位までとし求めよ。ただし、log(10)[2.4]=0.38とする。

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[2.4×10^(-9)]=-(log(10)[2.4]+log(10)[10^(-9)])=-(0.38-9)=8.62  答.pH=8.62

〔問.4〕0.10mol/Lの炭酸ナトリウムNa2CO3水溶液がある。

[1]:この水溶液の加水分解定数Khを求めよ。ただし、炭酸H2CO3の電離定数を、電離定数K1=4.5×10^(-7)、電離定数K2=4.7×10^(-11)、水のイオン積Kw=1.0×10^(-14)〔mol/L〕^2、4.7^(-1)=0.21とする。

CO3^(2-)+H2O⇔+HCO3^-+OH^-(※ 加水分解平衡)より、

K=[HCO3^-][OH^-]/[CO3^(2-)][H2O]とし、H2O(一定)を左辺に移項しKhとする!

K(H2O)=Kh=[HCO3^-][OH^-]/[CO3^(2-)]より、

Kh=[HCO3^-][OH^-]/[CO3^(2-)](※ ここで酢酸イオンCH3COO^-のKhを求める場合と同様に[H^+]を分子・分母に乗じると、

Kh=☆[HCO3^-]★[H^+]★[OH^-]/☆[H^+]☆[CO3^(2-)]となり、ここで「K2=Ka2」として考えると、

(Ⅰ):☆[HCO3^-]/☆[H^+]☆[CO3^(2-)]=(1/Ka2)とし、

(Ⅱ):★[H^+]★[OH^-]=Kwとすると、

Kh=[HCO3^-][OH^-]/[CO3^(2-)]=Kw/Ka2(=Kw×(1/Ka2))   ∴Kh=Kw/Ka2

Kh=Kw/Ka2=(1.0×10^(-14))/(4.7×10^(-11))=4.7^(-1)×10^(-3)

条件:4.7^(-1)=0.21より、

Kh=4.7^(-1)×10^(-3)=0.21×10^(-3)=2.1×10^(-4)   答.Kh=2.1×10^(-4)〔mol/L〕

[2]:Na2CO3水溶液のpHを小数第1位までとし求めよ。ただし、√0.21=0.46、log(10)[2.0]=0.30、log(10)[2.3]=0.36とする。

「※ Kh=[HCO3^-][OH^-]/[CO3^(2-)]」の[OH^-]を「※ 変形式(2):[OH^-]=√cKh」より(=※ 酢酸イオンCH3COO^-と同じ公式!)求めると、

[OH^-]=√cKh=√(0.10×2.1×10^(-4))=√(2.1×10^(-5))=√(0.21×10^(-4))=0.46×10^(-2)=4.6×10^(-3)〔mol/L〕

pOH=-log(10)[OH^-]=-log(10)[4.6×10^(-3)]=-log(10)[2.0×2.3×10^(-3)]=-(log(10)[2.0]+log(10)[2.3]+log(10)[10^(-3)])=-(0.30+0.36-3)=2.34

pHは、「pH+pOH=14」より、

pH=14-2.34=11.66  答.pH=11.7

【※ ここに着目!CO3^(2-)のKhと、HCO3^-のKhを比較し、CO3^(2-)の加水分解について理解しよう!】
まずCO3^(2-)とHCO3^-による加水分解を考える場合、僅かですが、既に水H2Oは大きく左に偏った電離平衡状態にある事が重要視されます。

H2O⇔H^++OH^-(※ H2Oの電離平衡!)

この僅かに電離するH^+を、0.10〔mol/L〕のCO3^(2-)とHCO3^-(※ 両物質のモル濃度:0.10〔mol/L〕を基準として考えます!)が受け取り加水分解が開始され、平衡が右方向へと移動し、H2Oの電離平衡の状態の中、CO3^(2-)とHCO3^-の加水分解による平衡が生じます。

(Ⅰ):CO3^(2-)+H2O⇔+HCO3^-+OH^-

(Ⅱ):HCO3^-+H2O⇔H2CO3+OH^-

この時のモル濃度が同じ0.10〔mol/L〕のCO3^(2-)のKhと、0.10〔mol/L〕のHCO3^-のKhについて考えてみます(※ 本来は同じKhですが、〔問.5〕の様にHCO3^-の場合、※不均化反応が生じるため、あえてKhについては、(1):CO3^(2-)をKh1、(2):HCO3^-をKh2として分けて考える事にします!)。

(1):CO3^(2-)のKh1=☆[HCO3^-][OH^-]/[CO3^(2-)]=2.1×10^(-4)〔mol/L〕

(2):HCO3^-のKh2==[H2CO3][OH^-]/[HCO3^-]=2.2×10^(-8)〔mol/L〕「※ 問.5の[1]のKhの値を使用しています!」

(3):HCO3^-の電離定数Ka2=[H^+][CO3^(2-)]/[HCO3^-]=4.7×10^(-11)〔mol/L〕

この時点での加水分解定数Kh1とKh2の値より、CO3^(2-)の加水分解定数Kh1の方が、HCO3^-の加水分解定数Kh2より、加水分解定数Khが大きいため、はるかに水素イオン:H^+を受け取りやすい状態にある事が解ります!

この加水分解定数Kh同士の比較により、 (1)のCO3^(2-)の加水分解により生じた ☆[HCO3^-]について考えてみますと、0.10〔mol/L〕のCO3^(2-)が電離したH2OのH^+を受け取る力が HCO3^-より強いためH2OのH^+は減少し、結果HCO3^-はH2Oの減少したH^+を受け取りにくくなり(※ 電離したOH^-が増加するため)、HCO3^-はHCO3^-自身のH^+を放出するしかなくなるという加水分解平衡状態にあります!

つまりHCO3^-は、CO3^(2-)が一方的にH^+を受け取ってしまうために、(3)のHCO3^-によるH^+を放出する電離平衡のみが生じ、結局(2)のHCO3^-による加水分解自体さほど生じない事になります!

以上の事より、CO3^(2-)による加水分解の場合、加水分解定数Kh1の値よりはるかに小さい電離定数Ka2によるHCO3^-の電離は無視出来、Kh1のCO3^(2-)による加水分解のみ考慮すればいいと言う事になります!少々紛らわしいのですが、要するに、

【※ (3)の電離定数Ka2によるHCO3^-の電離は無視出来ますが、CO3^(2-)による加水分解の公式にKa2は必要と言う事になります。混同しない様に御理解下さい!】

[3]:Na2CO3水溶液の水素イオン濃度:[H^+]とpHを小数第1位までとし求めよ。ただし、√4.7=2.2、log(10)[2.2]=0.34とする。

(Ⅰ):※ 変形式(3)の、[H^+]=√(Ka・Kw/c)より、条件:√4.7=2.2から、

[H^+]=√(Ka・Kw/c)=√(☆Ka2・Kw/c)=√(4.7×10^(-11)×1.0×10^(-14)/0.10)≒2.2×10^(-12)   答.[H^+]=2.2×10^(-12)〔mol/L〕

(Ⅱ):pHは、条件:log(10)[2.2]=0.34より、

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[2.2×10^(-12)]=-(log(10)[2.2]+log(10)[10^(-12)])=-(0.34-12)=11.66 答.pH=11.7

【※[3]は別解としての基本的なpHの求め方ですので、変形式(3)を利用して頂けたらと思います!】

〔問.5〕0.10mol/Lの炭酸水素ナトリウムNaHCO3水溶液に関係する必要な炭酸H2CO3の電離定数を、電離定数K1=4.5×10^(-7)、電離定K2=4.7×10^(-11)とする。

[1]:HCO3^-の加水分解定数Khを小数第1位までとし求めよ。ただし、4.5^(-1)≒0.22とする。

(Ⅰ):まず、HCO3^-の水溶液中での加水分解平衡により水酸化物イオン:OH^-が生成するKhは、

HCO3^-+H2O⇔H2CO3+OH^-(※ 加水分解平衡!)

K=[H2CO3][OH^-]/[HCO3^-][H2O](※[H2O]を一定とみなし左辺のKと同様とすると)、

Kh=[H2CO3][OH^-]/[HCO3^-](※ 分子・分母に[H^+]を乗じると)、

Kh=☆[H2CO3]★[OH^-]★[H^+]/☆[H^+]☆[HCO3^-](※☆[H2CO3]/☆[H^+]☆[HCO3^-]=(1/K1)、★[OH^-]★[H^+]=Kwより、K1をKa1とすると)、

Kh=Kw/K1=Kw/Ka1   ∴Kh=Kw/Ka1

(Ⅱ):次に、H2CO3の電離定数K1をKa1とする電離平衡は、

H2CO3⇔HCO3^-+H^+(※ 電離平衡!)

Ka1=[HCO3^-][H^+]/[H2CO3]=4.5×10^(-7)〔mol/L〕を、(Ⅰ)のKh=Kw/Ka1に代入すると、

Kh=(1.0×10^(-14))/(4.5×10^(-7))=4.5^(-1)×10^(-7)=0.22×10^(-7)≒2.2×10^(-8)  答.Kh=2.2×10^(-8)〔mol/L〕

【※ ここでは加水分解定数Khを求める訳ですので、上記記載済みの「※ 電離定数K1(Ka1)・加水分解定数Kh・水のイオン積Kw の関係性!」を理解して頂くとKhが求められます。これは「※ 見出し4」を観てもらいますと同じ様な事を意味していますので、再確認されたらと思います!】

[2]:NaHCO3水溶液の水素イオン濃度[H^+]を小数第1位までとし求めよ。

(Ⅰ):HCO3^-の水溶液中での平衡は、

HCO3^-+HCO3^-⇔H2CO3+CO3^(2-)

(Ⅱ):これを平衡定数Kとして表し、分子・分母に[H^+]を乗じ、K1をKa1、K2をKa2とすると、

K=[H2CO3][CO3^(2-)]/[HCO3^-]^2

K=☆[H2CO3]★[CO3^(2-)]★[H^+]/★[HCO3^-]☆[HCO3^-]☆[H^+]=☆(1/K1)×★K2=Ka2/Ka1

K=Ka2/Ka1=(4.7×10^(-11))/(4.5×10^(-7))=1.0×10^(-4)〔mol/L〕

(Ⅰ)の平衡により生成した、H2CO3とCO3^(2-)のモル濃度は、さほど変わらないため、「※ H2CO3のモル濃度≒CO3^(2-)のモル濃度 」と出来る事から、水素イオン濃度:[H^+]は、

平衡定数K=[H2CO3][CO3^(2-)]/[HCO3^-]^2=(Ka2/Ka1)

より、Ka1とKa2による公式が必要である事が理解出来、これを乗じ、分母・分子のHCO3^-同士を消去し合うと、

K1×K2=Ka1×Ka2=(☆[HCO3^-][H^+]/[H2CO3])×([H^+][CO3^(2-)]/☆[HCO3^-])=[H^+]^2[CO3^(2-)]/[H2CO3]

「※ H2CO3のモル濃度≒CO3^(2-)のモル濃度 」より大まかに、「※ ☆H2CO3のモル濃度≒★CO3^(2-)のモル濃度=☆1:★1」として考えると、

Ka1×Ka2=[H^+]^2[CO3^(2-)]/[H2CO3]≒[H^+]・★1/☆1≒[H^+]^2

「※ [H^+]^2≒Ka1×Ka2 」より、

[H^+]^2=(4.5×10^(-7))×(4.7×10^(-11))≒2.1×10^(-17)

両辺を(1/2)乗すると、

[H^+]^2^(1/2)=(Ka1×Ka2)^(1/2)= (2.1×10^(-17))^(1/2)≒4.6×10^(-9)

答.[H^+]=√(Ka1×Ka2)=4.6×10^(-9)〔mol/L〕

【※ ここが重要ポイント!HCO3^-水溶液中に存在する、(1.):加水分解定数Kh・電離定数K1(Ka1)・水のイオン積Kwの関連性と、(2.):両性電解質:NaHCO3を理解しよう! 】

(1.):加水分解定数Kh・電離定数K1(Ka1)・水のイオン積Kwの関連性については、[1]の「※ Kh=Kw/Ka1 」より、互いの同物質を消去し合うと、

(Kh:[H2CO3]☆[OH^-]/[HCO3^-])×(Ka1:[HCO3^-]★[H^+]/[H2CO3])=☆[OH^-]×★[H^+]=Kw

となり、水のイオン積:Kwが成立する事が理解出来ます!

(2.):両性電解質と呼ばれる炭酸水素ナトリウムNaHCO3は、水溶液中でHCO3^-として水素イオン:H^+を放出し酸性を示したり、逆にH^+を受け取ると塩基性を示すという電解質の事です。まず重要な事は、HCO3^-が水溶液中で、どの様な平衡として存在しているかです!

HCO3^-+HCO3^-⇔H2CO3+CO3^(2-)

HCO3^-が他の物質との反応を考慮しないものとし、左辺の2つの同物質イオン:HCO3^-同士が互いに反応し合い、右辺のH2CO3とCO3^(2-)が生成し平衡状態に落ち着く反応を「※ 不均化反応 」と呼びます!

この反応による平衡定数をKとしてKのモル濃度を求めると、

K=[H2CO3][CO3^(2-)]/[HCO3^-]^2=Ka2/Ka1=(4.7×10^(-11))/(4.5×10^(-7))≒1.0×10^(-4)  ∴K=1.0×10^(-4)〔mol/L〕

となります。この値は非常に重要な事であり、次の(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)によって理解出来ます!

(Ⅰ):Ka2=4.7×10^(-11)〔mol/L〕は、HCO3^-が電離したモル濃度!

(Ⅱ):Kh=2.2×10^(-8)〔mol/L〕は、HCO3^-が加水分解したモル濃度!

(Ⅲ):K=(Ka2/Ka1)=1.0×10^(-4)〔mol/L〕は、HCO3^-とHCO3^-同士の不均化反応によるモル濃度!

(Ⅲ)のモル濃度の値は、(Ⅰ)・(Ⅱ)の値と比較してみてもはるかに大きく、平衡についても(Ⅲ)の平衡は(Ⅰ)・(Ⅱ)より、大きく右に偏った平衡、つまりH2CO3とCO3^(2-)が最も生成する量が多い事が理解出来ます!

【※ Ka2のモル濃度<Khのモル濃度<Kのモル濃度 】

この事より、Ka2とKhのモル濃度を除外無視出来、不均化反応により生成したモル濃度の大きいH2CO3とCO3^(2-)を用いるため、「※ H2CO3≒CO3^(2-) 」が可能となります。よって「※ ☆H2CO3≒★CO3^(2-)=☆1:★1 」を満たし、かつ水素イオン濃度:[H^+]を求めるための大元の公式、

【※ Ka1×Ka2=[H^+]^2★[CO3^(2-)]/☆[H2CO3]≒[H^+]^2・★1/☆1≒[H^+]^2    ∴[H^+]^2=Ka1×Ka2 】

によって[H^+]を求める事が出来るのです!

[3]:NaHCO3水溶液のpHを小数第2位までとし求めよ。ただし、log(10)[2.0]=0.30、log(10)[2.3]=0.36とする。

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[√(Ka1×Ka2)]=-log(10)[4.6×10^(-9)]=-log(10)[2.0×2.3×10^(-9)]=-(log(10)[2.0]+log(10)[2.3]+log(10)[10^(-9)])=-(0.30+0.36-9)=8.34   答.pH=8.34

【※ 最終的にはHCO3^-同士の不均化反応による、

「※ pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[√(Ka1×Ka2)]」

の公式によってpHが求められます!】

〔問.6〕0.020mol/LのCH3COOH水溶液に、0.080mol/LのNaOH水溶液10mLを加え、完全中和させた溶液のpHを求めるための各問いに答えよ。ただし、CH3COOHの電離定数Kaを2.0×10^(-5)mol/L、水のイオン積を1.0×10^(-14)〔mol/L〕^2、√10^(-1)=10^(-1/2)、log(10)[2.0]=0.30、log(10)[4.0]=0.60、log(10)[10.0]=1.0(※ 2回使用する事)とする。

[1]:中和点に達するまでに要したCH3COOH水溶液の体積〔mL〕を求めよ。

CH3COOHの体積をv〔mL〕とすると、

1(価数)×0.020〔mol/L〕×(v/1000)〔L〕=1(価数)×0.080〔mol/L〕×(10/1000)〔L〕

2.0×10^(-5)v=8.0×10^(-4)〔mol〕

v=(8.0×10^(-4))/(2.0×10^(-5))=40  答.v=40〔mL〕

[2]:完全中和反応により生成した酢酸ナトリウム:CH3COONaのモル濃度を求めよ。

CH3COOHの物質量〔mol〕=NaOHの物質量〔mol〕=8.0×10^(-4)〔mol〕であるため、CH3COONaのモル濃度は、

8.0×10^(-4)〔mol〕÷(40+10/1000)〔L〕=8.0×10^(-4)〔mol〕÷(50/1000)〔L〕=8.0×10^(-4)〔mol〕×(1000/50)〔1/L〕=0.016=1.6×10^(-2)  答.c=1.6×10^(-2)〔mol/L〕

[3]:CH3COONa水溶液の水素イオン濃度:[H^+]を求めよ。

変形式(3)より、次の問い[4]で条件を満たすために、[H^+]=√(Ka・Kw/c)ではなく、[H^+]=Kw/√cKhを用い、条件の電離定数Ka:2.0×10^(-5)mol/L、水のイオン積:1.0×10^(-14)〔mol/L〕^2より、

[H^+]=Kw/√cKh=Kw/√(c・Kw/Ka)=(1.0×10^(-14))/{√(0.016×1.0×10^(-14)/2.0×10^(-5))}=(1.0×10^(-14))/{√(0.008×1.0×10^(-14)/10^(-5))}=(1.0×10^(-14))/{√(0.08×1.0×10^(-15)/10^(-5))}=(1.0×10^(-14))/{√(0.08×1.0×10^(-10))}=★(1.0×10^(-14))/{√(0.08)×★(1.0×10^(-5))}=(1.0×10^(-9))/√0.08  答.[H^+]=(1.0×10^(-9))/√0.08〔mol/L〕

[4]:中和点におけるCH3COONa水溶液のpHを小数第2位まで求めよ。

条件:√10^(-1)=10^(-1/2)、log(10)[2.0]=0.30、log(10)[4.0]=0.60、log(10)[10.0]=1.0より、

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[Kw/√cKh]=-log(10)[ Kw/√(c・Kw/Ka)]=-log(10)[(1.0×10^(-9))/√0.08]=-log(10)[{1.0/√(8.0×10^(-1)×10^(-1))}×10^(-9)]=-log(10)[{1.0/(8.0^(1/2)×10^(-1/2)×10^(-1/2))}×10^(-9)]=-log(10)[8.0^(-1/2)×10^(1/2)×10^(1/2)×10^(-9)]=-log(10)[2.0^(-1/2)×4.0^(-1/2)×10^(1/2)×10^(1/2)×10^(-9)]=-(log(10)[2.0^(-1/2)]+log(10)[4.0^(-1/2)]+log(10)[10^(1/2)]+log(10)[10^(1/2)]+log(10)[10^(-9)])=-(-(1/2)log(10)[2.0]-(1/2)log(10)[4.0]+(1/2)log(10)[10.0]+(1/2)log(10)[10.0]+log(10)[10^(-9)])=-(-(1/2)×0.30-(1/2)×0.60+(1/2)×1.0+(1/2)×1.0-9)=-(-0.15-0.30+1.0-9)=8.45  答.pH=8.45

【※ ここがポイント! √(ルート)の中に条件は隠れている!?】

[4]でpHを求めるには条件を使用しなければならないため、公式:[H^+]=Kw/√cKhを用います。通常は公式:[H^+]=√(Ka・Kw/c)で充分ですが、ここでは条件を満たす事に着目します!

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[Kw/√cKh]=Kw/√(c・Kw/Ka)=-log(10)[(1.0×10^(-9))/√0.08]より、

√0.08=√(8.0×10^(-1)×10^(-1))としてから、

(1.):「※ 1.0/√8.0=1.0/8.0^(1/2)=8.0^(-1/2)=2.0^(-1/2)×4.0^(-1/2)」 → 「※ log(10)[2.0^(-1/2)]+log(10)[4.0^(-1/2)]」→ 「※ 最後に、条件:log(10)[2.0]=0.30、log(10)[4.0]=0.60を使用する!」

(2.):「※ 1.0/√(10^(-1)×10^(-1))=1.0/(10^(-1/2)×10^(-1/2))=(10^(1/2)×10^(1/2))」→ 「※ log(10)[10^(1/2)]+log(10)[10^(1/2)]」 → 「※ 最後に、条件:log(10)[10.0]=1.0として2回使用する!」

この様に√の中に隠れている条件は中々気付きにくく、条件へと結び付ける事が困難な事も多くあります。ですので、それぞれを元の形に戻すといった様な感じで段階的に条件へと繋げて行ってもらえたらと思います。今まで通り1つずつ確実に理解して行きましょう!

今回は、塩の加水分解の原点:〔その壱〕と称しまして、塩の性質・弱酸と強塩基の塩等を中心に話を進めて参りました。その中で私は塩の加水分解に必要な公式を、全体像が観える変形式としてまとめたものとし一気にインプットして頂きます様に皆さんに紹介致しましたが、加水分解の一連の流れが理解して頂けたでしょうか?

最初は「何だこれ?」状態だと思いますが、基本的な問題から使用して頂きますと塩の加水分解という全体像が少しずつ観えて来ると思いますので、試して頂けたら幸いです。全体像としてパッと観るだけでも今回の加水分解の公式に、弱酸の電離定数Ka・水のイオン積Kwが入り込んでいるために、少々複雑化しているのが理解出来るのではないでしょうか?

そこで複雑化した公式を理解するためにも全体像が観える公式として紹介致しました。次回も塩の加水分解の原点:〔その弐〕を予定していますので是非御覧下さい!基本的な問題から塩の加水分解を制覇して行きましょう!それでは次回で、   See you!