前代未聞!?弱塩基のpH&pOHを制覇する術、此所に在り!

毎回、アナログ的な記述で御迷惑おかけしてます!今回は、「弱酸の、pH & pOHを求める公式よりも少々紛らわしい公式!」と皆さんが思われているのではないかと予想されます、「※ 弱塩基の、pH&pOHの求め方!」について話を進めて行こうかなと思います。

私自身はどちらかと言うと、やはり弱塩基の方が求めにくい方です。皆さんは、どちら派でしょうか?他の記事同様、ここでも出来るだけ基礎的なものを最重要視し、そこから弱塩基のややこしい公式を1つ1つクリアしていきましょう。

また弱塩基と弱酸の、pH & pOHを導くまでの重要な単位ごとの考え方と致しましては、全く同じであると割り切って考えた方が理解しやすいと思います。

また、累乗根、常用対数、解の公式も関係していますので、別記事の方も是非御覧下さい!

「たった1回読めば解る!累乗根とは何ぞや!?」

「一刀両断!logが、pHへと導かれる仕組み!?」

「一目瞭然!2次方程式から、解の公式を導く方法!」

さらに、弱酸、塩の加水分解にも精通していますので、こちらも是非御覧下さい!

「前代未聞!弱酸のpH&pOHを制覇する術(すべ)、此処に在り!」

前代未聞!?「塩の加水分解」を制覇する原点、此処にあり!〔その壱〕

前代未聞!?「塩の加水分解」を制覇する原点、此処にあり!〔その弐〕

では、1つずつ確実に理解していきましょう。

それではスタートです!

1.弱塩基とは?

弱塩基には1価(水酸化物イオンOH^-を1個放出する)のアンモニアNH3や、2価(OH^-を2個放出する)の水酸化銅(Ⅱ)Cu(OH)2、3価(OH^-を3個放出する)の水酸化アルミニウムAl(OH)3、水酸化鉄(Ⅲ)Fe(OH)3などが挙げられます。

ですが、実際には今挙げた様な2価以上の弱塩基は金属類(Cu、Al、Feなど)が水酸化物(-OHと結合)となっているために、沈殿物として扱われほぼ電離しない状態にあります!

よって、やはり弱塩基の中心として問題視されるのは、「※ アンモニアNH3 」という事になりますので、弱酸(酢酸CH3COOHなど)と照らし合わせながら徹底的に攻略していきましょう!

2.水溶液中での弱塩基と弱酸の相違点とは?

水に溶けやすいという共通点を持つ弱塩基のアンモニアNH3と、弱酸(※ここでは酢酸CH3COOHとします)の大きな相違点とは、生成物に依存しています!
【※ 弱塩基と弱酸の電離平衡における相違点!】

[1.]NH3 + H2O ⇔ NH4^+ + ☆OH^-

[2.]CH3COOH + H2O ⇔ CH3COO^- + ★H3O^+

2式の生成物に注目すると、アンモニアNH3は「☆水酸化物イオンOH^-」を生成し、一方の酢酸CH3COOHは「★水素イオンH^+」を生成している事が解ります。この2つの生成物が、弱塩基と弱酸との相違点になります!

[1.]の弱塩基であるアンモニアNH3は元々水酸化物イオンOH^-を所有している訳ではないのですが、水H2Oから水素イオンH^+を受け取る(※H2OのH^+がNH3の所有する非共有電子対に配位結合する!)事で、水酸化物イオンOH^-が生成します。

ですが、水溶液中では弱塩基のアンモニアNH3はあまりOH^-を放出しないために、弱酸と同様に電離平衡は大きく左方向へと偏っています!

アニリンC6H5NH2の電離平衡

【※ このNH3の電離平衡が左に偏る反応は、ニトロベンゼンC6H5NO2から生成する芳香族アミンと呼ばれるアニリンC6H5NH2に非常に似ています!

C6H5NH2 + H2O ⇔ C6H5NH3^+ +OH^-

この様にアニリンC6H5NH2は水H2Oから水素イオンH^+を奪い、水酸化物イオンOH^-が生じますが、アンモニアNH3よりも電離定数Kbがはるかに小さいために、さらに左方向へと偏っています!ですからNH3よりもかなり弱い塩基であると言えます。両者似た者同士としてインプットしてもらえたらと思い記述しときました!】

化学反応式としては[1.]も[2.]も基本的なものですが、少々苦手だと言う方は、弱塩基と弱酸とが互いに真逆的な関係にある事から、戸惑われるのではないかと思われます。そしてこの真逆的な関係が、さらに「※ 塩の加水分解」にも影響していきます!

ですので、まずは弱塩基の電離平衡から確実に理解すると同時に、弱酸の電離平衡と公式についても互いに照らし合わせ、「※ 特に公式については真逆的ですが、公式内に互いの共通点がいくつも必ず存在していますので、この公式の共通点を確実にモノにしていきましょう!」

3.弱塩基アンモニアNH3の電離平衡による電離定数Kbの表し方!

弱塩基の電離平衡も、弱酸同様の可逆反応によって化学反応式が成立しています。そして可逆反応として進行する方向は、あまり水酸化物イオンOH^-が生成しない左方向へと大きく偏る事になり、これも弱酸同様となります。

またここでも使用される、アンモニアNH3のモル濃度c〔mol/L〕、電離度α、電離定数Kb(※ 弱塩基の場合電離定数については、電離定数Kbとします!)の扱い方は、弱酸同様に全く同じ考え方として表すものとします。

つまり、NH3の電離平衡は弱酸の電離平衡の考え方と全く同じという事を意味しています(※ 弱酸の電離平衡につきましては、別記事にて紹介してありますので、宜しければお読み下さい!)。

3-1.アンモニアNH3の生成物はOH^-であり、H^+ではない事に着眼し、【※ NH3=OH^-=[OH^-]】としてインプットしておこう!

※ 極端ですが、アンモニアNH3について求められたら、まず最初に[※ 水酸化物イオン濃度:OH^-〔mol/L〕=水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求める!]という位思い切って考えてOKだと思います!

というのは、この見出しにもあります様に、【※ NH3=OH^-=[OH^-]】として簡単に通常化しておいた方が、例えややこしい問題でも全体像が観えやすくなる事によって解きやすくなると考えられるからです!

この事から、[※ 水酸化物イオン指数:pOH]を求める事も多くなると考えられますので、水酸化物イオン濃度:[OH^-]同様、[※ まずは、水酸化物イオン指数:pOHを求める!]といった位の意識も持たれると、弱塩基対策になると思います!

また、弱酸と弱塩基アンモニアNH3の電離度αは、さほど変わらない事から、弱酸同様に、「1-α≒1」と出来ます。

仮に、H2Oの電離前のモル濃度がc〔mol/L〕とNH3のモル濃度のc〔mol/L〕とが、全く同じだったとすると、電離後のNH3とH2Oのモル濃度も反応し合ったために、c(1-α)〔mol/l〕も全く同じになります!

かつ、H2OとNH3は電離前のモル濃度c〔mol/L〕とさほど変わらず減少していない事から、左辺のK同様に定数(H2Oも定数として一定である)として左辺に移動させ、Kbと表せます!

4.弱塩基のpHを導く公式には、「3つの公式+4つの公式=7つの公式!」が存在する!

「※ ここでは、早い段階で弱塩基のpHを求めるための公式を取り扱っておこうかなと思います。というのは、弱酸のpHを求める公式の数に比べ、弱塩基のpHを求める公式の数の方が多いためです。この弱塩基のpHを求めるには、下記の様に、大きく次の2通りに分けた7つの公式が存在します!」
【※ [1.]通常、弱塩基のpHを求める3つの公式!】

(1):pH=-log(10)[H^+](※ [H^+]=Kw/[OH^-]より!)

(2):pH=-log(10)[Kw/[cα]](※ [cα]=[OH^-]より!)

(3):pH=-log(10)[Kw/[√cKb]](※ [√cKb]=[OH^-]より!)

【※ [2.]14(pKw)を活用し、弱塩基のpHを求める4つの公式!】

(4):14+log(10)[OH^-](※ [OH^-]=Kw/[H^+]より!)

(5):14+log(10)[cα](※ [cα]=[OH^-]より!)

(6):14+log(10)[√cKb](※ [√cKb]=[OH^-]より!)

(7):14+(1/2)log(10)[cKb]

【※ 通常pHへと導く3公式以外にも、pHが求められる4つの別公式の存在とその仕組みに着目する!】

上記の[1.]と[2.]とで、記述通りの公式が合わせて7つ存在しますが、少々求め方が異なっています。簡単にイメージしてもらいますと、[1.]は[2.]より少し遠回りした求め方で、[2.]は[1.]をスムーズにした求め方、といったイメージでしょうか。

「※ 特に(7)の公式は、(6)の公式を応用化させたものとなっています!」

【※ a^(1/2)=±√aより、本来、(cKb)^(1/2)=±√cKbですが、負(-)としての値は存在しませんので、正(+)だけを考慮すると、√cKb=(cKb)^(1/2)より、指数^(1/2)はlogの前に移動出来ますので、これより(7)の公式が成立します!

(7)の公式:「14+(1/2)log(10)[cKb]」】

【※ また[2.]の4つの別公式の仕組みについては、

「 pH=14☆+log(10)[OH^-]」

がpHを求める基本的公式ですが、通常扱われている、

「 pOH=★-log(10)[OH^-]」

の様に、logの前に付いている★マイナス(-)が、この公式中では、※logの前の★マイナス(-)が外れた

「 log(10)[OH^-]」

になっている所に着目します!

このlogの★-(マイナス)を外した「 log(10)[OH^-]」は、

「※ log(10)[OH^-]=★-pOH」

としても表す事が出来、かつ生じる値は必ず負(-:マイナスの値の、-2、-3など)になる事から、

「※ 最終的には★-pOHとして、★-(マイナス)の形にする事によってpHを求める!」という方式です(※別記事のlogの仕組みに詳しく解説してありますので御参照下さい!)。

ですから、「※ log(10)[OH^-]」より生じる値が必ず負(マイナス:-)になる事から、

公式:「14☆+log(10)[OH^-]」

中に「※ 使用されている符号は☆+でなければなりません!」つまり

「 log(10)[OH^-]=★-pOH」より、

【※ pH=14☆+log(10)[OH^-]=14+(-pOH)=14★-pOH】となり、結局この原形となる公式が、

【※ pH+pOH=14(pKw)】

である事が理解出来るのではないでしょうか!この様にバラバラになった公式をまとめると、pHが求められる仕組みも理解しやすくなります。私的にはこちらの方が扱いやすいのですが、log(10)[2.0]=0.30という様な条件が与えられている場合が多いですので、両方の公式をインプットしてもらえたらと思います!】

5.弱塩基のpHへと導く基本的な3つの求め方を押さえておこう!

「※ ここでは大まかですが、弱塩基のpHを求めるために3つの基本的な手順を押さえておいてもらえたらと思います。それぞれ手順の1番最初にやる作業は全て、※ 水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求める事から始まりますので、[1]と[2]と[3]の、それぞれの求め方の違いを理解しておきましょう!」
【※ 弱塩基のpHを求める基本的な3つの手順!】
[1]:「※ pHを求める手順1!」

(1):まず、[OH^-]を求める!

(Ⅰ):[OH^-]=cα

(Ⅱ):[OH^-]=√cKb

(Ⅲ):[OH^-]=Kw/[H^+]

【※ Kw=1.0×10^(-14)〔(mol/L)^2〕として、以下も同様とします!】

(2):次に、pOHを求める!

pOH=-log(10)[OH^-]

(3):最後に、「pH+pOH=14(pKw)」よりpHを求める!

∴ pH=14-pOH

[2]:「※ pHを求める手順2!」

(1):まず、[OH^-]を求める!

(Ⅰ):[OH^-]=cα

(Ⅱ):[OH^-]=√cKb

(Ⅲ):[OH^-]=Kw/[H^+]

(2):次に、(1)で求めた[OH^-]と「Kw:水のイオン積」から、[H^+]を求めpHを求める!

(Ⅰ):pH=-log(10)[H^+](=[Kw/[OH^-]])

(Ⅱ):pH=-log(10)[Kw/[cα]]

(Ⅲ):pH=-log(10)[Kw/[√cKb]]

[3]:「※ pHを求める手順3!」

(1):まず、[OH^-]を求める!

(Ⅰ):[OH^-]=cα

(Ⅱ):[OH^-]=√cKb

(Ⅲ):[OH^-]=Kw/[H^+]

(2):次に、「14(pKw)」を用いた公式に[OH^-]を代入する!

(Ⅰ):pH=14+log(10)[OH^-](=Kw/[H^+]より)

(Ⅱ):pH=14+log(10)[cα]

(Ⅲ):pH=14+log(10)[√cKb]

(Ⅳ):pH=14+(1/2)log(10)[cKb]

以上の3つの手順が、弱塩基のpHを求める基本的な手順となります。いずれの求め方も「※ 1番最初に、まず水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求める!」事に着目してもらいますと、3つの手順の繋がりと式の流れが観えて来るのではないでしょうか?

5-1.pH & pOHに必要なまとめ:電離定数Kb〔mol/L〕、モル濃度c〔mol/L〕、電離度α、水酸化物イオン濃度OH^-〔mol/L〕、水素イオン濃度H^+〔mol/L〕の求め方!

「※ 電離定数Kb〔mol/L〕」:Kb=(cα×cα)/c(1-α)から、1-α≒1より、☆α=0として考えて、

Kb=(cα×cα)/c(1-α)=cα^2  ∴Kb=cα^2

「※ モル濃度c〔mol/L〕」:Kb=cα^2から、cα^2=Kbより、

c=Kb/α^2  ∴c=Kb/α^2

「※ 電離度α」:Kb=cα^2から、cα^2=Kbより、α^2=(Kb/c)として、両辺を(1/2)乗すると、

α^2×^(1/2)=(Kb/c)^(1/2)  ∴α=√(Kb/c)

「※ 水酸化物イオン濃度:OH^-〔mol/L〕(※3つの[OH^-]の求め方が存在する!)」

(Ⅰ):[OH^-]=cα

(Ⅱ):[OH^-]=cαに、α=√(Kb/c)を代入し「c=√c^2」とすると、

[OH^-]=c×√(Kb/c)(=α)=√c^2×√(Kb/c)=√cKb  ∴[OH^-]=√cKb

(Ⅲ):[OH^-]=Kw/[H^+]

「※ 水素イオン濃度:H^+〔mol/L〕(※ 3つの[H^+]の求め方が存在する!)」

(Ⅰ):[H^+]=Kw/[cα]

(Ⅱ):[H^+]=Kw/[√cKb]

(Ⅲ):[H^+]=Kw/[OH^-]

※ 以上が弱塩基の、pH & pOHを求めるために最低限必要な公式となっています。これまで皆さんには何度も発していますが、特にpHを求める場合、弱酸と弱塩基は真逆的な関係にあるために中々理解しにくい所もあると思います。ですので、是非「※7つの公式」を充分に理解して頂き、自由に扱える様になって頂けたらと思います!

ここからは、これ等の手順等を利用して、弱塩基の問題に少しでも早く対応出来ます様に、弱酸にも使用した変形式と称したものを一気に理解インプットしてもらいまして、問題に対処して頂こうと思っています。

また弱酸同様に、ここでも弱塩基の電離度αにも基準を設けて、[1.]α<0.05と、[2.]α≧0.05の場合とに分けて変形式と照らし合わせながら問題を問いていきましょう!

6.[1.]電離度α<0.05における弱塩基のpHの求め方!

【※ 例文の条件!】
※ 以下の弱塩基の問題も弱酸同様に、通常の問題よりも一連の流れを理解して頂くために、あえて必要以上に作成してある場合もありますので御了承下さい。また弱酸同様に、条件:log(10)[2.0]=0.30などは必ず使用するものとし、最初にまず電離度αが、α<0.05(αが0.05よりも小さい値)である事を確認して下さい!

皆さん上画像の変形式と、問題文とを照合しながら確実に問いていかれたらと思います。また画像内のc(1-α)を、あえてc(1-0)と表していますので、御確認、御了承下さい(※ 弱酸の記事の方をお読み下されば同じ様な内容となっていますので、宜しければお読み下さい)!

〔問1.〕0.10mol/LのアンモニアNH3水溶液の電離度αが0.010の電離定数Kbを求めよ。また水酸化物イオン濃度:[OH^-]を2通り求め、これよりpOHとpHを求めよ。ただし、log(10)[1.0]=0とする。

[1]α<0.05である事から、変形式(1)より電離定数Kbは、

Kb=cα^2=0.10×(0.010)^2=1.0×10^(-5)   答.Kb=1.0×10^(-5)〔mol/L〕

[2]水酸化物イオン濃度:[OH^-]の1つ目の求め方は、変形式(2)より、

(Ⅰ):[OH^-]=cα=0.10×0.010=0.0010   答.[OH^-]=0.0010〔mol/L〕

水酸化物イオン濃度2つ目の求め方は、同じく変形式(2)より、

(Ⅱ):[OH^-]=√cKb=√(0.10×1.0×10^(-5))=√(1.0×10^(-6))=√(10^(-3))^2=10^(-3)   答.[OH^-]=10^(-3)〔mol/L〕

[3]pOHは、[2]の[OH^-]=0.0010〔mol/L〕=10^(-3)〔mol/L〕より、

pOH=-log(10)[OH^-]=-log(10)[1.0×10^(-3)]=-(log(10)[1.0]+log(10)[10^(-3)])=-(0-3)=3  答.pOH=3

[4]pHは、変形式(3)の「pH+pOH=14(pKw)」より、

pH=14-3=11  答.pH=11

〔問.2〕0.10mol/LのNH3水溶液の電離定数Kbが1.7×10^(-5)mol/Lの電離度αを求め、さらに水酸化物イオン濃度:[OH^-]は2通り求める事とし、これにより水のイオン積:Kwを利用し2通りのpHを小数第1位までとし求めよ。ただし、√1.7=1.3(※ 3回使用する事)、Kw=1.0×10^(-14)、log(10)[1.3]=0.11(※ 2回使用する事)とする。

[1]電離度αは、変形式(1)のKb=cα^2を利用し、条件の√1.7=1.3より、

α=√(Kb/c)=√(1.7×10^(-5)/0.10)=√(1.7×10^(-4))=1.3×10^(-2)=0.013  答.α=0.013

[2]α<0.05より、「※ お約束の、まずは水酸化物イオン濃度:[OH^-]を変形式(2)により2通り求める!」。(Ⅱ)は、条件の√1.7=1.3を使用する。

(Ⅰ):[OH^-]=cα=0.10×0.013=1.3×10^(-3)  答.[OH^-]=1.3×10^(-3)〔mol/L〕

(Ⅱ):[OH^-]=√cKb=√(0.10×1.7×10^(-5))=√(1.7×10^(-6))=1.3×10^(-3)  答.[OH^-]=1.3×10^(-3)〔mol/L〕

[3]変形式(2)から、条件のKw=1.0×10^(-14)と、[2]の[OH^-]より水素イオン濃度:[H^+]を求め、さらにpHまで求める!

※ pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[Kw/[OH^-]]より、条件:log(10)[1.3]=0.11と、√1.7=1.3を用いると、

(Ⅰ):pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[Kw/[cα]]=-log(10)[(1.0×10^(-14))/(1.3×10^(-3))]=-log(10)[☆1.3^★(-1)×10^(-11)]=-(log(10)[1.3^(-1)]+log(10)[10^(-11)])=-(★-log(10)☆[1.3]+log(10)[10^(-11)])=-(-0.11-11)=11.11  答.pH=11.1

(Ⅱ):pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[Kw/[√cKb]]=-log(10)[(1.0×10^(-14))/√(0.10×1.7×10^(-5))]=-log(10)[(1.0×10^(-14))/√(1.7×10^(-6))]=-log(10)[(1.0×10^(-14))/(1.3×10^(-3))]=-log(10)[☆1.3^★(-1)×10^(-11)]=-(log(10)[1.3^(-1)+log(10)[10^(-11)])=-(★-log(10)☆[1.3]+log(10)[10^(-11)])=-(-0.11-11)=11.11  答.pH=11.1

※ この問題では、通常扱われる基本的な求め方が中心となっています。[2]の[OH^-]も、[3]のpHも答としては全く同じ値が生じる事に着目します!また計算式中の「☆1.3^(-1)」は、

「※ 1.0÷1.3==☆1.3^★(-1)」を表しており、これをlog扱いすると、

「※ log(10)[☆1.3^★(-1)]=★-1log(10)☆[1.3]=★-log(10)☆[1.3]」

の様に、1.3の指数^(-1)をlogの前に移動出来ます。最後は、条件:log(10)[1.3]=0.11によりpHが求められます!

〔問.3〕アンモニア水溶液の電離度αが0.040、電離定数Kbが1.6×10^(-5)mol/Lのモル濃度を求め、また水酸化物イオン濃度:[OH^-]は2通り求め有効数字2桁とし、これによるpHは水のイオン積:Kwを利用し3通り求めよ。ただし、√0.16=0.40、水のイオン積:Kw=1.0×10^(-14)、log(10)[4.0]=0.60(※ 2回使用する事)、log(10)[2.0]=0.30とする。

[1]α<0.05であるため、変形式(1)のKb=cα^2より、

c=Kb/α^2=(1.6×10^(-5))/(0.040)^2=(1.6×10^(-5))/(1.6×10^(-3))=10^(-2)=0.010  答.c=0.010〔mol/L〕

[2][OH^-]は変形式(2)から、条件:√0.16=0.40より、

(Ⅰ):[OH^-]=cα=0.010×0.040=4.0×10^(-4)  答.[OH^-]=4.0×10^(-4)〔mol/L〕

(Ⅱ):[OH^-]=√cKb=√(0.010×1.6×10^(-5))=√(0.16×10^(-6))=4.0×10^(-4)  答.[OH^-]=4.0×10^(-4)〔mol/L〕

[3]pHは[2]の[OH^-]を用いて、条件である水のイオン積:Kw、log(10)[4.0]=0.60を2回使用し、残りのlog(10)[2.0]=0.30も使用し求めると、

(Ⅰ):pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[Kw/[cα]]=-log(10)[(1.0×10^(-14))/[4.0×10^(-4)]]=-log(10)[☆(1/4)×10^(-10)]=-(log(10)★[1.0]-log(10)★[4.0]+log(10)[10^(-10)])=-(0-0.60-10)=10.6  答.pH=10.6

(Ⅱ):pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[Kw/[√cKb]]=-log(10)[(1.0×10^(-14))/[4.0×10^(-4)]]=-log(10)[☆(1/4)×10^(-10)]=-(log(10)★[4.0^(-1)]+log(10)[10^(-10)])=-(-log(10)[4.0]+log(10)[10^(-10)])=-(-0.60-10)=10.6  答.pH=10.6

(Ⅲ):pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[Kw/[OH^-]]=-log(10)[(1.0×10^(-14))/[4.0×10^(-4)]]=-log(10)[☆(1/4)×10^(-10)]=-(log(10)[1.0]-log(10)[4.0]+log(10)[10^(-10)])=-(log(10)★[1.0]-log(10)★[2.0^2]+log(10)[10^(-10)])=-(log(10)[1.0]-2log(10)[2.0]+log(10)[10^(-10)])=-(0-2×0.30-10)=10.6  答.pH=10.6

【※ ここでは、全てのpHの計算式の☆の(1/4)がそれぞれ、3つの★のlogの真数に変化している事に着目します!通常は、この様な問題自体無いかも知れませんが、あえて分散して問題とさせてもらいました!】

〔問.4〕アンモニアNH3水溶液の電離度αが6.0×10^(-3)、電離定数Kbが1.8×10^(-5)mol/Lのモル濃度〔mol/L〕、水酸化物イオン:[OH^-]とpOHは2通りずつ求め、これよりpHを求めよ。ただし、log(10)[3.0]=0.48(※ 2回使用する事)とする。

[1]α<0.05であり、モル濃度は変形式(1)より、

c=Kb/α^2=(1.8×10^(-5))/(6.0×10^(-3))^2=0.50  答.c=0.50〔mol/L〕

[2][OH^-]は変形式(2)より、

(Ⅰ):[OH^-]=cα=0.50×0.0060=3.0×10^(-3)  答.[OH^-]=3.0×10^(-3)〔mol/L〕

(Ⅱ):[OH^-]=√cKb=√(0.50×1.8×10^(-5))=√(9.0×10^(-6))=3.0×10^(-3)  答.[OH^-]=3.0×10^(-3)〔mol/L〕

[3]pOHは、[2]の[OH^-]を利用し、条件:log(10)[3.0]=0.48を用いると、全く同じ2通りのpOHが求められる!

(Ⅰ):pOH=-log(10)[OH^-]=-log(10)[cα]=-log(10)[3.0×10^(-3)]=-(log(10)[3.0]+log(10)[10^(-3)])=-(0.48-3)=2.52  答.pOH=2.52

(Ⅱ):pOH=-log(10)[OH^-]=-log(10)[√cKb]=-log(10)[3.0×10^(-3)]=-(log(10)[3.0]+log(10)[10^(-3)])=-(0.48-3)=2.52  答.pOH=2.52

[4]pHは変形式(3)より、

pH=14-2.52=11.48  答.pH=11.48

〔問5.〕NH3水溶液の水酸化物イオン濃度:[OH^-]が6.9×10^(-3)mol/Lの水素イオン濃度:[H^+]を求め、またpOHとpHは小数第2位まで求め、これより14(pKw)が成立する事を示せ。ただし、水のイオン積:Kw=1.0×10^(-14)〔(mol/L)^2〕、log(10)[6.9]=0.84、log(10)[3.0]=0.48、log(10)[2.3]=0.36]とする。

[1]pHに必要な[OH^-]は既に提示されていますので、変形式(2)より[H^+]が求められます。

[H^+]=Kw/[OH^]=(1.0×10^(-14))/(6.9×10^(-3))=6.9^(-1)×10^(-11)  答.[H^+]=6.9^(-1)×10^(-11)〔mol/L〕

[2]pOHは、条件:log(10)[6.9]=0.84より、

pOH=-log(10)[OH^-]=-log(10)[6.9×10^(-3)]=-(log(10)[6.9]+log(10)[10^(-3)])=-(0.84-3)=2.16  答.pOH=2.16

[3]pHは条件:log(10)[3.0]=0.48、log(10)[2.3]=0.36より、

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[6.9^(-1)×10^(-11)]=-log(10)[(3.0^(-1)×2.3^(-1))×10^(-11)]=-(log(10)[3.0^(-1)]+log(10)[2.3^(-1)]+log(10)[10^(-11)])=-(-log(10)[3.0]-log(10)[2.3]+log(10)[10^(-11)])=-(-0.48-0.36-11)=11.84  答.pH=11.84

[4]変形式(3)より14(pKw)は、

答.pH+pOH=14(pKw)より、

11.84+2.16=14(pKw)として成立する。

【※ ここでは既に[OH^-]の値が分かっていますので、最初に[H^+]を求めてからスムーズにpOH、pHへと繋げていくだけです!】

〔問.6〕水素イオン濃度:[H^+]が5.0×10^(-11)mol/Lの水酸化物イオン濃度:[OH^-]、pOH、pHを求め14(pKw)が成立する事を示せ。ただし、水のイオン積:Kw=1.0×10^(-14)〔(mol/L)^2〕、log(10)[5.0]=0.70、log(10)[2.0]=0.30、log(10)[2.5]=0.40とする。

[1][OH^-]は変形式(2)より、

[OH^-]=Kw/[H^+]=(1.0×10^(-14))/(5.0×10^(11))=(1/5)×10^(-3)   答.[OH^-]=(1/5)×10^(-3)〔mol/L〕

[2]pOHは[1]と、条件:log(10)[5.0]=0.70より、

pOH=-log(10)[OH^-]=-log(10)[(1/5)×10^(-3)]=-(log(10)[1.0]-log(10)[5.0]+log(10)[10^(-3)])=-(0-0.70-3)=3.7  答.pOH=3.7

[3]pHは条件:log(10)[2.0]=0.30、log(10)[2.5]=0.40より、

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[5.0×10^(-11)]=-log(10)[(2.0×2.5)×10^(-11)]=-(log(10)[2.0]+log(10)[2.5]+log(10)[10^(-11)])=-(0.30+0.40-11)=10.3  答.pH=10.3

[4]変形式(3)より14(pKw)は、

答.pH+pOH=14(pKw)より、

10.3+3.7=14(pKw)として成立する。

【※ ここでも[H^+]の値が既に分かっていますので、難しく考えずに最初に[OH^-]を求めてからスムーズにpOH、pHへと繋げていくだけです!】

〔問.7〕0.050mol/LのNH3水溶液の電離度αが2.0×10^(-2)の水酸化物イオン濃度:[OH^-]、電離定数Kb、pHを求めよ。ただし、水のイオン積:1.0×10^(-14)〔(mol/L)^2〕とする。

[1][OH^-]は変形式(2)より、

[OH^-]=cα=0.050×0.02=1.0×10^(-3)  答.[OH^-]=1.0×10^(-3)〔mol/L〕

[2]電離定数Kbは変形式(1)より、

Kb=cα^2=0.050×(0.020)^2=2.0×10^(-5)  答.Kb=2.0×10^(-5)〔mol/L〕

[3]pHは変形式(2)より条件:Kwを利用した[H^+]から求められます。

[H^+]=Kw/[OH^-]=(1.0×10^(-14))/(1.0×10^(-3))=1.0×10^(-11)  答.[H^+]=1.0×10^(-11)〔mol/L〕

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[1.0×10^(-11)]=-(log(10)[1.0]+log(10)[10^(-11)])=-(0-11)=11  答.pH=11

〔問.8〕0.10mol/LのNH3水溶液の電離定数Kbが2.0×10^(-5)mol/Lの電離度α、水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求めよ。またこれよりpOHを小数第1位までとし求め、pHも求めよ。ただし、√2.0=1.4、log(10)[1.4]=0.15とする。

[1]電離度αは変形式(1)と、条件:√2.0=1.4より、

α=√Kb/c=√(2.0×10^(-5)/10^(-1))=1.4×10^(-2)  答.α=1.4×10^(-2)

[2][OH^-]は変形式(2)より、

[OH^-]=cα=0.10×0.014=1.4×10^(-3)  答.[OH^-]=1.4×10^(-3)〔mol/L〕

[3]pOHは[2]の[OH^-]と条件:log(10)[1.4]=0.15より、

pOH=-log(10)[OH^-]=-log(10)[1.4×10^(-3)]=-(log(10)[1.4]+log(10)[10^(-3)])=-(0.15-3)=2.85  答.pOH=2.9

[4]pHは変形式(3)の14(pKw)より、

pH=14-2.9=11.1  答.pH=11.1

〔問.9〕〔問.2〕の0.10mol/LのNH3水溶液の電離度αが0.013、電離定数Kbが1.7×10^(-5)mol/Lで判明している水酸化物イオン濃度:[OH^-]=1.3×10^(-3)mol/Lを利用し、14(pKw)を利用したpHを小数第1位までとし3通り求めよ。ただし、log(10)[1.3]=0.11(※ 2回使用する事)、log(10)[1.7]=0.23とする。

[1]pH=14+log(10)[OH^-]より、

(Ⅰ):pH=14+log(10)[cα]=14+log(10)[1.3×10^(-3)]=14+(log(10)[1.3]+log(10)[10^(-3)])=14+(0.11-3)=14+(☆-2.89)=11.11  答.pH=11.1

(Ⅱ):pH=14+log(10)[√cKb]=14+log(10)[1.3×10^(-3)]=14+(log(10)[1.3]+log(10)[10^(-3)])=14+(0.11-3)=14+(☆-2.89)=11.11  答.pH=11.1

(Ⅲ):pH=14+(1/2)log(10)[cKb]=14+(1/2)log(10)[0.10×1.7×10^(-5)]=14+(1/2)log(10)[1.7×10^(-6)]=14+(1/2)(log(10)[1.7]+log(10)[10^(-6)])=14+(1/2)(0.23-6)=14+(☆-2.885)=11.115  答.pH=11.1

※ 2つの(☆-2.89)と、1つの(☆-2.885)が、「☆-pOH」を表しており、

【※ log(10)[OH^-]=☆-pOH】の関係にある事に着目して下さい!これにより、

【※ pH=14+log(10)[OH^-]⇔pH=14-pOH】が成立しています!

〔問.10〕pOH=4のアンモニア水溶液における水酸化物イオン濃度:[OH^-]と水素イオン濃度:[H^+]を求めよ。またpHの値を3通り求めよ。ただし、水のイオン積:Kw=1.0×10^(-14)とする。

[1][OH^-]は、pOH=-log(10)[OH^-]=4より、

【※ ここがポイント!水酸化物イオン濃度:[OH^-]=10^(-pOH)を利用する!】
【※[OH^-]=☆10^(★-pOH)=☆10^(★-4)=1.0×10^(-4)】  答.[OH^-]=1.0×10^(-4)〔mol/L〕

[2][H^+]は変形式(2)より、

[H^+]=Kw/[OH^-]=(1.0×10^(-14))/[1.0×10^(-4)]=1.0×10^(-10)  答.[H^ +]=1.0×10^(-10)〔mol/L〕

[3]pHは変形式(3)と、[2]の[H^+]=1.0×10^(-10)〔mol/L〕、[1]の[OH^-]=1.0×10^(-4)〔mol/L〕より、

(Ⅰ):pH=14-pOH=14-4=10  答.pH=10

(Ⅱ):pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[1.0×10^(-10)]=-(log(10)[1.0]+log(10)[10^(-10)])=-(0-10)=10  答.pH=10

(Ⅲ):pH=14+log(10)[OH^-]=14+log(10)[1.0×10^(-4)]=14+(log(10)[1.0]+log(10)[10^(-4)])=14+(0-4)=10  答.pH=10

〔問.11〕pH=5のアンモニア水溶液における水素イオン濃度:[H^+]と水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求めよ。またpOH、pHの値をそれぞれ2通りずつ求めよ。ただし、水のイオン積:Kw=1.0×10^(-14)とする。

[1][H^+]は、pH=-log(10)[H^+]=5より、

【※ ここがポイント!水素イオン濃度:[H^+]=10^(-pH)を利用する!】
[H^+]=☆10^(★-pH)=☆10^(★-5)=1.0×10^(-5)  答.[H^+]=1.0×10^(-5)〔mol/L〕

[2][OH^-]は変形式(2)より、

[OH^-]=Kw/[H^+]=(1.0×10^(-14))/[1.0×10^(-5)]=1.0×10^(-9)  答.[OH^-]=1.0×10^(-9)〔mol/L〕

[3]pOHは変形式(3)と、[2]の[OH^-]=1.0×10^(-9)〔mol/L〕より、

(Ⅰ):pH+pOH=14より、

pOH=14-5=9  答.pOH=9

(Ⅱ):pOH=-log(10)[OH^-]=-log(10)[1.0×10^(-9)]=-(log(10)[1.0]+log(10)[10^(-9)])=-(0-9)=9  答.pOH=9

[4]pHは[1]の[H^+]=1.0×10^(-5)〔mol/L〕と、[2]の[OH^-]=1.0×10^(-9)〔mol/L〕より、

(Ⅰ):pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[1.0×10^(-5)]=-(log(10)[1.0]+log(10)[10^(-5)])=-(0-5)=5  答.pH=5

(Ⅱ):pH=14+log(10)[OH^-]=14+log(10)[1.0×10^(-9)]=14+(log(10)[1.0]+log(10)[10^(-9)])=14+(0-9)=5  答.pH=5

〔まとめ:問.12〕0.10mol/LのアニリンC6H5NH2水溶液の電離度αが6.7×10^(-5)の各問いに答えよ。ただし、√0.45=0.67、水のイオン積:Kwを1.0×10^(-14)〔(mol/L)^2〕、log(10)[6.7]=0.83(※ 3回使用する事)、log(10)[1.5]=0.17、log(10)[5.0]=0.70、log(10)[1.34]=0.13、log(10)[4.5]=0.65とする。

[1]電離定数Kbを小数第1位まで求めよ。

変形式(1)より

Kb=cα^2=0.10×(6.7×10^(-5))^2≒4.48×10^(-10)  答.Kb=4.5×10^(-10)〔mol/L〕

[2]水酸化物イオン濃度:[OH^-]を2通り求めよ。

変形式(2)と、√0.45=0.67より、

(Ⅰ):[OH^-]=cα=0.10×(6.7×10^(-5))=6.7×10^(-6)  答.[OH^-]=6.7×10^(-6)〔mol/L〕

(Ⅱ):[OH^-]=√cKb=√(0.10×4.5×10^(-10))=√(0.45×10^(-10))=0.67×10^(-5)=6.7×10^(-6)  答.[OH^-]=6.7×10^(-6)〔mol/L〕

[3]水素イオン濃度:[H^+]を小数第1位まで求めよ。

変形式(2)と、[2]の[OH^-]より、

[H^+]=Kw/[OH^-]=(1.0×10^(-14))/(6.7×10^(-6))≒1.49×10^(-9)  答.[H^+]=1.5×10^(-9)〔mol/L〕

[4]水のイオン積:Kwが成立する事を示せ。

[H^+]×[OH^-]=Kwより、

(1.5×10^(-9))×(6.7×10^(-6))=1.005×10^(-14)≒1.0×10^(-14)  答.Kw=1.0×10^(-14)〔(mol/L)^2〕として成立する。

[5][2]の[OH^-]より、条件:log(10)[6.7]=0.83からpOHを小数第2位までとし求めよ。

pOH=-log(10)[OH^-]=-log(10)[cα]=-log(10)[√cKb]=-log(10)[6.7×10^(-6)]=-(log(10)[6.7]+log(10)[10^(-6)])=-(0.83-6)=5.17  答.pOH=5.17

[6]pHを、水のイオン積:Kwを用いた計算式によって小数第2位までとし、3通り求めよ。

(Ⅰ):[3]の[H^+]と、log(10)[1.5]=0.17より、

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[Kw/[OH^-]]=-log(10)[1.5×10^(-9)]=-(log(10)[1.5]+log(10)[10^(-9)])=-(0.17-9)=8.83 答.pH=8.83

(Ⅱ):log(10)[6.7]=0.83より、

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[Kw/[cα]]=-log(10)[(1.0×10^(-14))/(6.7×10^(-6))]=-log(10)[(1/6.7)×10^(-8)]=-(log(10)[1.0]-log(10)[6.7]+log(10)[10^(-8)])=-(0-0.83-8)=8.83  答.pH=8.83

(Ⅲ):log(10)[5.0]=0.70、log(10)[1.34]=0.13より、

pH=-log(10)[H^+]=-log(10)[Kw/[√cKb]]=-log(10)[(1.0×10^(-14))/(6.7×10^(-6))]]=-log(10)[(1/6.7)×10^(-8)]=-log(10)[6.7^(-1))×10^(-8)]=-log(10)[5.0^(-1)×1.34^(-1)×10^(-8)]=-(-log(10)[5.0]-log(10)[1.34]+log(10)[10^(-8)])=-(-0.70-0.13-8)=8.83  答.pH=8.83

[7]14(pKw)が成立する事を示せ。

[5]のpOHと、[6]のpHより、

答.pH+pOH=14(pKw)より、8.83+5.17=14(pKw)として成立する。

[8]pHを、[6][7]以外の計算式を用いて小数第2位までとし2通り求めよ。

(Ⅰ):log(10)[6.7]=0.83より、

pH=14+log(10)[OH^-]=14+log(10)[cα]=14+log(10)[√cKb]=14+log(10)[6.7×10^(-6)]=14+(log(10)[6.7]+log(10)[10^(-6)])=14+(0.83-6)=8.83  答.pH=8.83

(Ⅱ):log(10)[4.5]=0.65より、

pH=14+log(10)[OH^-]=14+log(10)[√cKb]=14+(1/2)log(10)[cKb]=14+(1/2)log(10)[0.10×4.5×10^(-10)]=14+(1/2)log(10)[4.5×10^(-11)]=14+(1/2)(log(10)[4.5]+log(10)[10^(-11)])=14+(1/2)(0.65-11)=8.825  答.pH=8.83

※ 皆さん、荒削りな問題を作成してみましたが、pHを求める迄の、おおよその流れが御理解出来たのではないでしょうか?弱塩基の場合、まず水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求めるという事を基本にインプットされておかれたらと思います!

7.[2.]電離度α≧0.05における弱塩基のpHの求め方!

【※ αを仮定として求めた結果、弱塩基の[※ 電離度α≧0.05]だった場合、解の公式により新たに電離度αを求める!】
弱塩基の場合にも、まずやるべき事は弱酸同様α<0.05を満たしているかどうか必ず確認する事!です。仮に、α<0.05を満たさなかった場合には、弱酸同様電離度αを下記の解の公式によって求め直さなければなりません!

2次方程式から解の公式を求めるやり方は、弱酸のKaと弱塩基のKbとが入れ替わるだけですので、2次方程式から解の公式を求める記事の方で再確認されたらと思います。また解の公式によって電離度αを求めるやり方も、弱酸の場合と似たようなものですので、こちらの方も御覧頂けたらと思います。

【※ α≧0.05の場合、2次方程式から解の公式を導いて電離度αを求める!】
【※ Kb=cα^2/1-αより、2次方程式:cα^2+Kbα-Kb=0(c≠0かつ0<α<1)からαを解くと、

α={-Kb☆±√(Kb^2+4cKb)}/2c

※ また電離度αは通常、0<α<1を満たす事から、αが正(+)の値を示す次式の解の公式によってαが求められます!

α={-Kb★+√(Kb^2+4cKb)}/2c

※ 弱酸の解の公式同様、この解の公式に、それぞれの値を代入しますと電離度αが求められます。なお、2次方程式にそれぞれの値を代入しても電離度αは求める事が出来ます!】

【※ 電離度α≧0.05における、水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求める場合の公式を扱う注意点 !】
※ 解の公式によって求めた電離度αを用いて水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求めていきますが、この時、誤った公式を使用して電離度αを求めてはならないという最も注意すべき点があります!それが弱酸と同じ考え方である、「※ 水酸化物イオン濃度:[OH^-]を求める場合には、基本:[OH^-]=cαのみ!」と考えて構わないという点です!

[◯]:[OH^-]=cα=Kw/[H^+]

[×]:[OH^-]=cα=√cKb=Kw/[H^+]

【※ つまり解の公式によって求めた電離度αは使用出来ますが、弱酸(√cKa)同様に、近似として用いる√cKbによって求めた電離度αは、絶対に使用出来ない!ので御注意下さい!!】

「※ また次の様な有りがちな問題で、直接電離度αが、α≧0.05として提示してある場合もあります!」

〔例題.〕1.0×10^(-3)mol/Lのアンモニア水溶液の電離度αが0.10である水酸化物イオン濃度:[OH^-]、pHを求めよ。

[OH^-]=cα=1.0×10^(-3)×0.10=1.0×10^(-4)  答.[OH^-]=1.0×10^(-4)〔mol/L〕

pH=14+log(10)[OH^-]=14+log(10)[cα]=14+log(10)[1.0×10^(-4)]=14+(log(10)[1.0]+log(10)[10^(-4)])=14+(0-4)=10  答.pH=10

【※ 上記の様に、既にα≧0.05を満たしたα=0.10として提示してある場合等は、再度、電離度αを解の公式を利用し求める事なく、提示されたα=0.10をそのまま計算に用いてpHまで求める事が出来ます!】

今回は、弱塩基のpH & pOHにこだわってみました。皆さん、弱塩基のpHを求める迄の一連の流れが御理解出来たのではないでしょうか?全体的に弱酸と弱塩基は、真逆的な関係にある事さえ把握して頂けたら、意識せずスムーズにインプットされていくと思います。

くどいようですが、何も役に立ちそうにない変形式と称しているものは、「※ 塩の加水分解」の基本的なものになると考えています。ですので、弱酸と弱塩基の変形式がどうしても基本となりますので、頭のおでこ辺りに貼り付けておくイメージでもいいですので、いつでも引き出せる様にしておいて頂けたらと思います。

今回も永々とお付き合い下さいまして誠に有難うございました。只今、皆さんにお役に立てる、記事を提供出来ます様に奮闘中です!それではこの辺で、  See you!